2010/8/9

産業・貿易

自営業者と配偶者に関する新指令が発効、14週間の法定産休制度など柱

この記事の要約

自営業者とその配偶者やライフパートナーに対する社会保障の充実を図るための「自営業者と自営業者を補助する配偶者に関するEU指令」が4日発効した。女性の自営業者および自営業者を補助する配偶者またはライフパートナーに最低14週 […]

自営業者とその配偶者やライフパートナーに対する社会保障の充実を図るための「自営業者と自営業者を補助する配偶者に関するEU指令」が4日発効した。女性の自営業者および自営業者を補助する配偶者またはライフパートナーに最低14週間の法定産休期間を保証することなどを柱とする内容で、労働市場における女性の権利強化を図ると共に、女性の起業を支援する狙いがある。EU加盟国は指令に基づき、原則として2年以内に国内法を整備することが求められる。

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EU内では自営業者が労働力人口の16%を占め、そのうち11%が配偶者や婚姻関係を結んでいないライフパートナーの助けに依存しているとされる。新指令は自営業者(農業を含む)とその配偶者に男女均等待遇の原則を適用することを目的とした「自営業男女均等指令」(1986年制定)に代わるもので、女性の自営業者および自営業者を補助する配偶者やライフパートナーの権利強化に主眼を置いた内容。5月18日の欧州議会本会議で可決され、6月7日のEU閣僚理事会で正式に承認された。

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新指令によると、女性の自営業者および自営業者を補助する配偶者またはライフパートナーには最低14週間の出産休暇を取得する権利が与えられ、出産手当も支給される。自営業者に出産休暇や出産手当を保証するルールが導入されたのは今回が初めて。一方、自営業者に対する社会保障制度(年金制度など)が整備されている加盟国においては、自営業者を補助する配偶者やパートナーにも自営業者と同等の権利が保障される。これまでは自営業者を補助する配偶者やパートナーは扶養家族と位置付けられていたため、離婚や配偶者の死亡、倒産などを機に生活苦に陥るリスクが高かったが、今後は社会保障制度の安全網で守られることになる。

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欧州委員会のレディング副委員長(司法・基本的権利・市民権担当)は声明で「新指令の発効により、自営業者およびその配偶者またはライフパートナーに対する社会的保護を強化し、男女均等の経済的・社会的権利を保障するEUの政策は大きく前進する。新指令は完全な男女均等を実現し、女性の起業を促して、女性の自営業者が充実した社会保障を受けることができるようにするためのものだ」と強調。加盟国に対し速やかに国内法を整備して新ルールを実施するよう求めた。

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