2010/8/30

総合 –EUウオッチャー

独政府、銀行特別税導入を閣議決定

この記事の要約

ドイツ政府は25日、銀行に特別税を課し、将来の破たんに備えた基金を設置する法案を閣議決定した。議会の承認を経て、1月の法案成立を目指す。同様の構想はEUも検討を進めているが、これに積極的なドイツは先行して法制化を進め、域 […]

ドイツ政府は25日、銀行に特別税を課し、将来の破たんに備えた基金を設置する法案を閣議決定した。議会の承認を経て、1月の法案成立を目指す。同様の構想はEUも検討を進めているが、これに積極的なドイツは先行して法制化を進め、域内共通の銀行税導入を促したい考えだ。

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銀行税構想は、金融危機再発策の一環として欧州委員会が5月に提案したもの。銀行税を財源にした「銀行清算基金」を創設し、銀行の経営が行き詰まった場合に必要となる破たん処理などの資金を確保しておくというもの。銀行が破たんしても納税者に負担を強いることなく、円滑に処理を進め、金融市場の安定を保つのが狙いだ。

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リーマンショックに端を発した金融危機で、国内銀行を救済するため2008年に4,800億ユーロ規模の公的資金を投じ、金融市場安定化基金(Soffin)の設置を迫られたドイツは、英国、フランスとともに銀行税導入に前向き。EUは9月の財務相理事会で同構想について協議し、10月に詳細をまとめて2011年初めに法案を提出したい考えだが、ドイツはこれに先立って法案をまとめた。法案はドイツ国内に本社のある銀行を対象に、財務状況に応じて毎年課税するという内容。年間で総額10億ユーロの徴収を見込んでいる。

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EUではすでにスウェーデンが同様の基金を運営している。欧州委は各国がばらばらに基金を設置すると、ルールの違いで競争条件が異なってくることから、各国がEU共通ルールに沿って基金を設けることを望んでいる。ドイツのショイブレ財務相も「一国単独での銀行税導入は都合が悪い。EU共通の方策が望ましい」としており、同国が火付け役となって域内共通の銀行税導入の早期実現を目指したいとの考えを示唆した。

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