2010/8/30

産業・貿易

CEBSがストレステストの新指針発表、「リバース・ストレステスト」の実施勧告

この記事の要約

EU加盟国の金融監督当局で構成する欧州銀行監督委員会(CEBS)は26日、銀行のストレステスト(健全性審査)に関する新たな指針を発表した。銀行があらゆるシナリオを想定してより厳格なリスク管理を行うための実務面の原則をまと […]

EU加盟国の金融監督当局で構成する欧州銀行監督委員会(CEBS)は26日、銀行のストレステスト(健全性審査)に関する新たな指針を発表した。銀行があらゆるシナリオを想定してより厳格なリスク管理を行うための実務面の原則をまとめたもので、予め特定のストレステストの結果を想定して、その結果に至るシナリオを逆算的に検討する「リバース・ストレステスト」の実施を柱とする内容になっている。EU各国の金融当局は12月31日から新たな指針を適用する見通しだ。

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CEBSが7月に公表した域内91の銀行に対するストレステストの結果によると、株価や国債相場が予想外に下落するなど厳しい市場環境に陥った場合、「資本不足」の恐れがあると認定された銀行は7行にとどまり、不足額は総額35億ユーロと査定された。アナリスト予想では10行以上が資本不足と認定され、不足額は最大750億ユーロに達するとの見方が出ていただけに、市場では査定基準の甘さを指摘する声が根強い。こうした中でCEBSは銀行により厳格なリスク管理を求めるため、3カ月にわたる意見募集の結果を踏まえてストレステストの実施に関する勧告をまとめた。

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新指針に盛り込まれたリバース・ストレステストは、「自己資本比率が規制上の最低基準を下回る」「債務超過に陥る」といったストレステストの結果を想定し、どのような事態が発生した場合にそうした結果に結びつくかを検証してリスク管理に役立てることを目的としている。CEBSはリバース・ストレステストの手法を取り入れることで、標準的なテストがもたらす「誤った安心感」が市場に広がるリスクを減らすことができると説明している。

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CEBSはこのほか、適切にリスク管理を行っていない銀行に対し、資本の積み増しを義務付けることを提言している。指針は「資本管理に関するあらゆる要素を的確に把握し、それらのリスクに対して適正な量の資本を準備するための評価システムを整えることが金融機関に求められる」と指摘。単発で実施されるストレステストではなく、日常的なリスク監視を通じて適正な規模の資本を維持することが最も重要だと強調している。

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