2010/9/6

産業・貿易

ユーロ圏国債などの空売り規制、EUが草案公表へ

この記事の要約

欧州委員会が策定を進めていた現物手当てのない株式、国債および国債を対象としたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の空売り(ネーキッド・ショート・セリング)に関する規制案の草案が1日、明らかになった。草案の詳細は、今 […]

欧州委員会が策定を進めていた現物手当てのない株式、国債および国債を対象としたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の空売り(ネーキッド・ショート・セリング)に関する規制案の草案が1日、明らかになった。草案の詳細は、今月15日に欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)が公表する予定。法案として加盟各国および欧州議会に提出され、承認を得れば、2011年中に発効となる見通しだ。

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ロイター通信が入手した草案によると、規制案の主な目的は、空売りが域内市場の質と効率性にもたらす利点を不当に損なうことがない形で、リスクへの対処を可能にすること。「市場の無秩序化やシステミックリスク増大の可能性を持つ」空売り取引を行う金融機関や投資家は、空売り取引に必要な証券の借り入れが確実に可能であり、取引が成立し得ることを規制当局に対して証明しなくてはならなくなる。また、加盟各国の国債CDSについて巨額の空売り取引を行う場合には、リスク資産総額を規制当局に申請することが義務付けられる。

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草案はまた、来年1月に発足予定の欧州証券監督機構(ESMA)に対し、有効期間を3カ月とする緊急の空売り禁止措置を導入する権限が与えるとしている。緊急措置はさらに3カ月までの延長が可能となる。このほか、一般の空売りあるいは現物手当てのない空売りが特定の金融商品の価格下落を引き起こしている場合には、ESMAが当該の金融商品の空売りに対し「非常に限定的な取引禁止措置」を実施することも認めるという。さらに、そうした緊急措置が実施されていない時でも、市場参加者には当局への報告義務が課されるほか、株式、国債、国債CDSに対するショートポジションを市場に公開するよう義務付ける可能性がある。なお、ESMAが定める規則は、加盟各国が独自に採用する規制に優先するものとなる。

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ドイツが今年5月に単独で空売り規制を実施したことを受け、バルニエ委員は緊急事態に備えるためにも、加盟27カ国が統一の規則を導入する必要があると主張。法案提出を急ぐ姿勢を示していた。

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