2010/9/13

総合 –EUウオッチャー

ハンガリー、財政赤字削減に同意

この記事の要約

ハンガリーのマトルチ経済相は8日、2011年の財政赤字をEUの財政規律で上限に定められている国内総生産(GDP)比3%以下に削減するよう取り組む方針を明らかにした。経済成長を重視するオルバン政権は、EUや国際通貨基金(I […]

ハンガリーのマトルチ経済相は8日、2011年の財政赤字をEUの財政規律で上限に定められている国内総生産(GDP)比3%以下に削減するよう取り組む方針を明らかにした。経済成長を重視するオルバン政権は、EUや国際通貨基金(IMF)が求める赤字削減に向けた財政措置の実施に抵抗してきたが、圧力に屈して方向転換を余儀なくされた格好だ。

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ハンガリーは08年、IMFとEUなどから最大200億ユーロの支援を受けることで合意。その際、10年の財政赤字を国内総生産(GDP)の3.8%、11年にはEUの財政規律を定めた安定成長協定が規定する3%以下に抑えることを約束した。しかし、4月の総選挙で社会党を破り、8年ぶりの政権交代を果たしたオルバン首相率いる中東右派政権は、経済成長と雇用創出を重視。財政規律の達成に向けIMFとEUが求める追加の歳出削減措置の実施を拒否したため、両機関との融資交渉は7月に決裂。通貨フォリントは急落し、国債の保証コストが急騰するなど同国の財政問題への懸念が広がっていた。

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マトルチ経済相は会見で、「政府は、11年の財政赤字比率を3%以下に抑制するという経済省の提案を承認した」と述べるとともに、政府が経済省に対し、財政規律に基づいて11年予算案を策定するよう要請したことを明らかにした。同経済相は、財政赤字目標を実現するためには、10年の財政赤字を対GDP比3.8%に抑えるとともに、11年に2.5~3.0%の経済成長を確保することが前提となると強調。このほか、銀行税を11年も継続することや、公共部門における支出削減、国営企業の財政再建などが必要であると述べた。

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ハンガリー政府が今回、財政赤字削減に取り組む姿勢を示したことについて、「マーケットはハンガリー政府が財政赤字をIMFやEUが要求するレベルに削減することを期待しており、評価できる」(コンコード・セキュリティーズのアナリスト、サム氏)と、好意的に受け止める見方が多い。一方で、オルバン政権がマーケットの信頼を回復するのに足る実効性ある政策を提示できるか不安視する声もあり、IMGバンクのアナリスト、コルバ氏は、「11年の予算案と経済プログラムが公表されるまで、市場は神経質な動きを見せるだろう」とコメントしている。

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