2010/9/20

総合 –EUウオッチャー

今年のユーロ圏成長率は1.7%、欧州委が大幅に上方修正

この記事の要約

欧州委員会は13日発表した暫定経済予測で、2010年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)成長率を1.7%とし、春季予測(5月)の0.9%から大幅に上方修正した。4-6月期に予想を大きく超える成長を記録したことを主に反映し […]

欧州委員会は13日発表した暫定経済予測で、2010年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)成長率を1.7%とし、春季予測(5月)の0.9%から大幅に上方修正した。4-6月期に予想を大きく超える成長を記録したことを主に反映したもの。EU27カ国全体でも1%から1.8%に引き上げた。ただ、世界経済の減速懸念などを織り込み、下期は成長が鈍化すると見込んでいる。(表参照)

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欧州委は春と秋に詳細な経済予測を発表するが、中間期に暫定的な予測を出している。今回の暫定予測はドイツ、フランス、イタリア、英国、スペイン、オランダ、ポーランドのEU主要7カ国のデータに基づいてまとめたもの。国別の予想成長率はドイツが3.4%と、春季の1.2%から3倍近い上方修正となったほか、いずれの国も引き上げられた。ただ、スペインはマイナス0.3%と、下げ幅は0.1ポイント上方修正されたものの、引き続きマイナス成長が見込まれている。

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ユーロ圏の4-6月期の成長率は前期比1%で、前の期の0.3%を大きく上回った。輸出がユーロ安、世界経済の復調を追い風に急増したことに加え、内需の柱となる個人消費、設備投資が伸びたことが原動力となった。欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は記者会見で、内需回復を強調して「欧州経済は明らかに回復軌道に乗った」と述べた。

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一方、欧州委は下期については慎重な見方だ。世界経済に減速の兆しが出ていることから、景気回復をけん引してきた輸出が鈍化することを見込んだもので、ユーロ圏の成長率は7-9月期に0.5%、10-12月期に0.3%まで減速するとみている。また、金融市場混乱の再発懸念や、財政赤字が膨らんでいる各国が赤字削減を迫られる中、景気対策に手が回らず経済に悪影響を及ぼしかねないことも不安要素として指摘。レーン委員は景気動向について「回復ななお脆弱だ」とした上で、「勝利宣言する根拠はない。我々は不透明感が残る中、警戒感を持ち続けなければならない」と語り、慎重な姿勢を崩さなかった。

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インフレ予測については、ユーロ圏では景気回復が緩やかで、賃上げ圧力も弱いことから急激な物価上昇はないと予想。予想インフレ率はユーロ圏が1.4%と、春季の1.5%から0.1ポイント引き下げた。EU全体では1.8%に据え置いた。

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