2010/9/20

産業・貿易

EU加盟国が対韓FTAを承認、発効は半年遅れの来年7月に

この記事の要約

EU加盟国は16日開いた外相理事会で、韓国との自由貿易協定(FTA)締結を承認した。欧州委員会と韓国政府は昨年10月、大部分の工業製品と農産物の関税を段階的に撤廃するFTAに仮署名し、早期発効を目指していたが、韓国製自動 […]

EU加盟国は16日開いた外相理事会で、韓国との自由貿易協定(FTA)締結を承認した。欧州委員会と韓国政府は昨年10月、大部分の工業製品と農産物の関税を段階的に撤廃するFTAに仮署名し、早期発効を目指していたが、韓国製自動車の大量流入による自国産業への影響を懸念するイタリアが承認を拒否し、調整が難航していた。最終的に、発効時期を当初の予定より半年遅い2011年7月1日とすることで妥協が成立し、ようやく合意にこぎつけた。

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EUと韓国は10月6日にブリュッセルで開くEU・韓国首脳会議でFTAに正式署名する。EUは協定発効から3年以内に工業製品の99%、韓国は同96%に対する関税を順次撤廃し、双方とも5年以内にすべての工業製品に対象を拡大する。農業製品のうち、コメは関税撤廃対象から除外された。欧州委の試算によると、EUと韓国の輸出産業はそれぞれ16億ユーロ、11億ユーロの恩恵を受けるとみられる。

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外相理ではイタリアの同意を取り付けるため、関税撤廃で韓国から小型車などの輸入が急激に増加した場合に、関税を元の水準まで引き上げる「セーフガード(緊急輸入制限措置)」を発動することでも合意した。外相理は声明で「韓国との協定はEUがアジアの国と結ぶ最初のFTAであり、これまでで最も野心的な通商協定だ」と強調。EU議長国ベルギーのファンアケレ外相は会見で「EUとアジアをつなぎ、新たな市場を開く大きな一歩だ」と述べた。

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協定発効には欧州議会と韓国議会の承認が必要だが、欧州自動車産業は依然として対韓FTAに強く反対しており、協定阻止に向けて欧州議会への圧力を強める可能性がある。欧州自動車工業会(ACEA)のホダッチ事務局長は「(協定には)なお改善の余地が残っていると強く確信している」と述べ、韓国車の大量流入によって欧州メーカーが打撃を受ける事態を防ぐため、各方面への働きかけを続ける考えを示した。

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