2010/9/27

環境・通信・その他

アナログ放送「跡地」を高速無線通信に 欧州委、早期の開放を提案

この記事の要約

欧州委員会は20日、携帯電話などを使ったワイヤレスブロードバンド(高速無線通信)サービスの普及促進を図るため、地上アナログテレビ放送の終了後に利用可能となる周波数帯を2013年1月までに通信事業者に開放する構想を打ち出し […]

欧州委員会は20日、携帯電話などを使ったワイヤレスブロードバンド(高速無線通信)サービスの普及促進を図るため、地上アナログテレビ放送の終了後に利用可能となる周波数帯を2013年1月までに通信事業者に開放する構想を打ち出した。EU加盟国と欧州議会の承認を経て実施に移す。

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EUは今年5月にまとめた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」の中で、2013年までにEU全域でブロードバンド接続サービスの100%普及を実現し、2020年までにすべてのEU市民が通信速度30メガビット/秒の高速ブロードバンド接続サービスを利用できるようにするという目標を掲げている。欧州委はワイヤレスブロードバンドの普及が公約実現のカギを握るとの認識に立ち、2012年に予定される地上デジタル放送への完全移行に伴うアナログ放送の「跡地」を携帯電話事業者などに開放するよう提案している。

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欧州委は加盟国に対し、12年までにワイヤレスブロードバンドの事業免許を交付したうえで、13年1月1日(特別な事情がある場合は15年1月)までに現在アナログテレビ放送が使用している800メガヘルツ帯を開放するよう求めている。ドイツでは今年5月に同周波数帯の入札が実施され、通信大手ドイツテレコムと英携帯大手ボーダフォンが免許を取得している。

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欧州委の試算によると、デジタルアジェンダの公約達成には20年までにEU全体で1,800-2,700億ユーロの投資が必要。同委は欧州投資銀行(EIB)と共同で、2011年春までにブロードバンド通信の普及拡大に向けた投資計画をまとめる方針を示している。クルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は「高速ブロードバンドはデジタル戦略の『酸素』のようなものであり、欧州の繁栄と幸福にとって不可欠な要素だ」と強調。欧州経済が競争力を維持するためにもEU全体で効率的な周波数管理を行い、とりわけ高い成長が見込めるワイヤレスブロードバンド事業への投資を促進する必要があるとの考えを示した。

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