2010/9/27

環境・通信・その他

ネット上の著作権侵害、欧州議会が取締り強化求める決議

この記事の要約

欧州議会は22日の本会議で、インターネット上の著作権侵害に対する取締り強化などを求める決議を賛成多数で採択した。決議は映画や音楽をはじめとする著作物の違法ダウンロードなど、増え続けるネット上の著作権侵害行為が欧州経済に深 […]

欧州議会は22日の本会議で、インターネット上の著作権侵害に対する取締り強化などを求める決議を賛成多数で採択した。決議は映画や音楽をはじめとする著作物の違法ダウンロードなど、増え続けるネット上の著作権侵害行為が欧州経済に深刻なダメージを与えていると指摘。こうした違法行為を取り締まるための現行ルールは十分に機能していないとして、欧州委員会にネット上の知的財産権保護を目的とする新たな法案を策定するよう求めている。決議に法的拘束力はないが、規制強化を求める業界団体などが欧州委員会や各国政府への圧力を強める可能性がある。

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採決では中道右派などの328議員が賛成票を投じ、社会党系や緑の党などの245議員が反対に回った(棄権81)。決議はネット上の著作権侵害に関連して、「民事規定に基づく取締りの枠組みは十分に効果的で、かつEU内で調和がとれているとの欧州委の見解には賛成できない」と強調。刑事制裁も視野に入れて、インターネット接続業者(ISP)など各方面と違法ダウンロードの防止策などについて協議する必要があると指摘している。

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一方、決議は音楽のネット配信などのデジタルサービス分野で単一市場を実現するため、EU共通の著作権ライセンスを創設し、国境を越えて著作権を一元管理する仕組みを整えるよう求めている。さらに知的財産権の執行のための国際的な枠組みとなる「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)」に関連して、既存のEUルールおよび基本的人権を完全に反映した内容にしなければならないと強調し、EU主導で関連国との交渉を進めるよう欧州委に注文した。

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欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は欧州議会の決議を受け、年内にネット上の著作権侵害や模造品対策に関する行動計画をまとめる意向を示した。

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