2010/10/4

産業・貿易

銀行ストレステストを定期的に実施、EU財務相理で合意

この記事の要約

EU加盟国は9月30日の財務相理事会で、域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)を定期的に実施し、結果をすべて公表することで合意した。今夏に実施されたストレステストでは「不合格」となった銀行が91行中、7行にとどま […]

EU加盟国は9月30日の財務相理事会で、域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)を定期的に実施し、結果をすべて公表することで合意した。今夏に実施されたストレステストでは「不合格」となった銀行が91行中、7行にとどまり、市場では査定基準の甘さを指摘する声が上がっているが、EU各国は同テストが金融システムに対する投資家の懸念を緩和するうえで一定の役割を演じたと評価。審査方法を見直したうえで定期的にテストを実施し、結果を公表して銀行の資産内容の透明性を高める必要があるとの認識で一致した。

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EU議長国ベルギーのレインデルス財務相は会議後の会見で、「前回のストレステストに関してはいくつかの教訓があるかもしれないが、EUにとって初めての経験だった。さらに踏み込んで定期的にテストを実施し、結果を公表する必要があるというのが加盟国の一致した見解だ」と述べた。さらに欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は「ストレステストの効果を最大化するため、実施にあたって完全な透明性を確保しなければならない」と強調。当局者間で審査方法や査定基準などを調整する必要があるとの認識を示した。

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EU各国の銀行監督当局で構成するCEBSが7月に公表した域内91の銀行に対するストレステストの結果によると、株価や国債相場が予想外に下落するなど厳しい市場環境に陥った場合、「資本不足」の恐れがあると認定された銀行は7行にとどまり、不足額は総額35億ユーロと査定された。アナリスト予想では10行以上が資本不足と認定され、不足額は最大750億ユーロに達するとの見方が有力だっただけに、市場では国債保有額の査定基準が甘いといった指摘がある。

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CEBSはこうした点を踏まえて8月にストレステストに関する新たな指針を策定。予め特定のストレステストの結果を想定して、その結果に至るシナリオを逆算的に検討する「リバース・ストレステスト」の導入や、適切にリスク管理を行っていない銀行に対し、資本の積み増しを義務付けることなどを提言している。

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