2010/10/11

総合 –EUウオッチャー

日本との刑事共助協定を正式承認、死刑制度の絡みでEU側に拒否権

この記事の要約

EU加盟国は7日、ルクセンブルクで司法・内務相理事会を開き、日本との間で犯罪捜査を円滑に進めるための刑事共助協定を承認した。EU27カ国と日本の治安当局は外交ルートを通さずに捜査に必要な資料などを直接やりとりできるように […]

EU加盟国は7日、ルクセンブルクで司法・内務相理事会を開き、日本との間で犯罪捜査を円滑に進めるための刑事共助協定を承認した。EU27カ国と日本の治安当局は外交ルートを通さずに捜査に必要な資料などを直接やりとりできるようになり、広域化が進む国際犯罪の捜査を効率的に進めることが可能になる。日本はこれまでに米国や中国などと刑事共助条約または協定を締結しているが、EUが第3国とこうした協定を結ぶのは今回が初めて。双方は昨年4月に交渉を開始し、11月に協定の内容で合意していた。

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協定に基づき、日欧の警察および検察当局は捜査に必要な情報や資料を迅速に交換できるようになり、捜査員の派遣なども容易になる。具体的にはビデオ会議を通じて目撃者や専門家などから直接証言や供述を得られるようになり、捜査にかかる手続きやコストが大幅に削減される。またマネーロンダリング対策として、銀行口座に関する情報を相互に提供しあうことも協定に盛り込まれている。

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一方、EU側には日本が死刑制度を維持している点を問題視し、協定に反対する意見もあった。こうした経緯から、最終的に「死刑を科しうる犯罪」に関しては、「日本側が公判で証拠として利用しないことを確約しない限り」、EU加盟国は日本からの「共助要請を拒否できる」との規定が盛り込まれた。死刑廃止はEU加盟の条件になっており、EUは人権政策の一環として、日本や米国を含むすべての死刑存置国に死刑制度の廃止を求めている。

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