2010/10/11

総合 –EUウオッチャー

EU・中国の首脳会談は溝が浮き彫り、人権や人民元引き上げの問題で応酬

この記事の要約

ファンロンパイEU大統領と欧州委員会のバローゾ委員長は6日、欧州歴訪中の中国の温家宝首相と会談したものの、人権問題や人民元の為替相場引き上げなどで双方の主張は平行線をたどり溝は埋まらなかった。会談後に予定されていた共同記 […]

ファンロンパイEU大統領と欧州委員会のバローゾ委員長は6日、欧州歴訪中の中国の温家宝首相と会談したものの、人権問題や人民元の為替相場引き上げなどで双方の主張は平行線をたどり溝は埋まらなかった。会談後に予定されていた共同記者会見もスケジュール上の理由から中止されたが、EU側の高官によれば温家宝首相が声明を読み上げるだけで記者からの質問を受け付けないことを望んだためという。

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バローゾ委員長は温家宝首相に対して「大国には大きな責任が伴う」と語り、ファンロンパイ大統領はEUと中国には共通点があるものの取り組みで違いがあるとして、「これが双方の関係を高めることを阻害すべきではない」と指摘。一方、温家宝首相は、双方には長期にわたり未解決の課題が数多くあるのは事実としながらも、「それは双方の根本的な利害を反映していない」と語っている。

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人権問題でEU側は「市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」の批准をはじめ中国側に改善を求めたが、最終的に発表された共同宣言では人権問題については触れなかった。人民元の切り上げと貿易不均衡是正についてEU側は、中国は急拡大する経済的影響力を自覚して国際的なパートナーに配慮すべきだと指摘。しかし温家宝首相は、人民元に対するユーロ高についてはユーロとドルの変動によるもので中国は為替市場に介入していないとして、急激な人民元の上昇は中国経済に打撃を与え社会不安をもたらすと主張した。また貿易不均衡についてもEUと米国に対して中国は出超となっているものの、アジアの主要国に対しては入超になっている点を強調している。

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さらにEU側が問題としている中国のレアアースの輸出管理について、中国側は環境への負荷を抑えるためと主張し、「一部の国は言うことに裏表がある」として地球温暖化問題で中国への圧力を強めるEUを暗に批判した。

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