2010/10/11

産業・貿易

銀行監督委が賞与規制の運用ルール策定、現金の即時支給は最大30%に

この記事の要約

欧州銀行監督委員会(CEBS)は8日、EUが2011年1月から導入する銀行報酬規制の運用ルールを定めた指針案を発表した。新ルールの中で解釈が分かれていた現金で即時支給されるボーナス(賞与)の割合は、最大30%に制限される […]

欧州銀行監督委員会(CEBS)は8日、EUが2011年1月から導入する銀行報酬規制の運用ルールを定めた指針案を発表した。新ルールの中で解釈が分かれていた現金で即時支給されるボーナス(賞与)の割合は、最大30%に制限される。CEBSは11月8日まで意見募集を行い、寄せられた意見を踏まえて最終案をまとめる。

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EUは短期の業績に連動した高額報酬制度が銀行の過剰なリスク行動を助長し、金融危機が拡大する要因になったとの反省に立ち、過剰報酬を是正するための具体策として賞与支給に関する規制の導入を決めた。新規制によると、EU域内で活動する銀行(域外に本拠を置く銀行や、海外にある域内銀行の子会社を含む)は、月給を基に幹部行員やトレーダーなどに支払う賞与の上限を設定することが義務付けられる。各行は賞与の40%、高額賞与の場合は60%について、少なくとも3-5年間にわたり支払いを繰り延べることが求められ、この間に業績が悪化した場合は賞与を回収できる仕組みも導入される。さらに賞与の一部を将来の損失に備えた分担金(contingent capital)と位置づけ、全体のうち少なくとも50%を自社株やその他の有価証券の形で支給することが義務付けられる。その結果、現金で即時支給される賞与の割合は通常の場合で全体の30%、高額賞与の場合は20%に抑えられることになる。

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EU加盟国は各国の金融監督機関で構成するCEBSが策定した運用ルールに沿って新規制を適用することになるが、8日にロンドンで開いたCEBSの会合では英国、フランス、スペインが現金で即時支給される賞与の割合を最大30%とすることに難色を示したもよう。英金融サービス機構(FSA)は会合に先立ち、同比率を最大50%とすることができるとの解釈を示していた。

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市場関係者の間ではCEBSが新規制に対して厳格な解釈を行ったことを受け、EUでは世界で最も厳しい銀行報酬規制が適用され、域内の金融セクターは米国をはじめとする域外の金融機関との競争で不利な立場に立たされるといった意見が出ている。

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