2010/10/11

環境・通信・その他

海底油田モラトリアム、欧州議会は反対

この記事の要約

欧州議会は7日、EU域内における海底油田・ガス田の新規開発停止(モラトリアム)に反対する決議案を323票対285票の僅差で可決した。欧州委員会は近くモラトリアム法案を議会に提出する予定とされており、これを前に議会は法案に […]

欧州議会は7日、EU域内における海底油田・ガス田の新規開発停止(モラトリアム)に反対する決議案を323票対285票の僅差で可決した。欧州委員会は近くモラトリアム法案を議会に提出する予定とされており、これを前に議会は法案に対する否定的な姿勢を明確に打ち出した格好だ。

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一方、議会は沖合油田に関する安全規則の厳格化、および事故発生時の補償額の引き上げに関する決議を大多数の議員の賛成(賛成601人、反対23人、棄権13人)により採択。欧州委に対し、油田での事故に対応するための緊急支援基金の設立や、域内全体を対象とする保険制度構築の有用性について調査を実施するよう要請した。欧州委は現在、石油会社が事故に対する十分な賠償を行えるだけの財務基盤を持たない場合、開発を認めないとする認可制の導入についても検討中で、安全対策・補償に関する規則の見直しを進めている。

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事故発生のリスクが高いことなど、安全面が懸念される深海油田の探査・掘削は、掘削が容易な陸上油田の開発が困難になるに従い、増加を続けてきた。欧州委は今年7月、米国メキシコ湾沖で4月に発生した英石油大手BPの海底油田の掘削施設爆発事故に伴う大規模な原油流出を受け、北海と北大西洋での海底油田・ガス田の開発に対する規制を強化する方針を明示。欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)も、EU規制の見直しや必要な場合における新法の制定に賛成の立場を示していた。しかし、域内最大規模の原油埋蔵量を持つスコットランド沖の北海油田について、英国スコットランドの第一党スコットランド国民党などは、掘削の禁止が認められれば同地域の経済にとって壊滅的な影響が及ぶと主張、警戒感を示していた。

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