2010/10/11

環境・通信・その他

大型商用車の排ガス規制、主要メーカーが積載量ベースの上限要求

この記事の要約

EUが大型商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減するための新たな法案を検討している問題で、スウェーデンのボルボ、伊フィアット傘下のイベコ、オランダDAFは7日、欧州委員会と欧州議会に対して過度の規制強化に反対する […]

EUが大型商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減するための新たな法案を検討している問題で、スウェーデンのボルボ、伊フィアット傘下のイベコ、オランダDAFは7日、欧州委員会と欧州議会に対して過度の規制強化に反対する意見書を提出した。ロイター通信が報じた。欧州委は来年中に大型商用車に対する規制案をまとめる見通しで、現在審議中の軽商用車に対する排出規制と同様の厳しい内容になるとの見方が出ている。3社のトップは軽商用車並みの排出削減は技術的に不可能であり、行き過ぎた規制はおよそ25万人が従事する欧州トラック業界を混乱に陥れると警告。検討中の法案を見直すよう強く求めている。

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EUは2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも20%削減するとの目標を掲げ、実現に向けた施策の一環として自動車のCO2排出規制を強化している。乗用車については12年から段階的に新たな規制を実施する方針を決めており、軽商用車に関しても欧州委が昨年10月、14-16年までにCO2排出量を現在に比べて約14%、 20年までに約33%削減することをメーカーに義務付ける法案を打ち出した。規制の対象となるのは車両重量が2.61トン以下のバンなどで、走行1キロメートル当たりのCO2排出量を現在の平均203グラムから2014-16年の間に175グラム、20年までに135グラムに削減するという内容。目標を達成できなかったメーカーは制裁金の支払いを命じられる。

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ボルボなど3社は大型商用車に対して軽商用車並みの厳格な規制が導入された場合、メーカーは制裁を回避するため小型トラックの製造に軸足を移すことになり、そうなれば輸送効率が低下して域内を走行するトラックの台数が増え、結果的にCO2排出量が増加すると警告。車体の重量ではなく、積載量を基に排出上限を設定すべきだと主張している。

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ボルボのヨハンソン最高経営責任者(CEO)は記者団に対し「トラックは単に大型の自動車だとの認識が規制案のベースになっている。こうした発想は規制を誤った方向に導く」と批判。イベコのモンフェリーノCEOは「(軽商用車並みの削減義務が課された場合)削減目標を達成するための技術は存在しない」と述べ、車体重量に基づく規制の仕組みを見直すよう強く求めた。

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