2010/10/18

産業・貿易

ファンド規制めぐる協議が難航、「第3国ルール」で英仏が対立

この記事の要約

EU加盟国は13日、ブリュッセルで大使級会合を開き、ヘッジファンドなど投資ファンドに対する規制案について協議したが、EU域外の第3国に籍を置くファンドの扱いをめぐって英国などとフランスの対立を解消することができず、合意を […]

EU加盟国は13日、ブリュッセルで大使級会合を開き、ヘッジファンドなど投資ファンドに対する規制案について協議したが、EU域外の第3国に籍を置くファンドの扱いをめぐって英国などとフランスの対立を解消することができず、合意を見送った。翌14日には加盟国、欧州議会、欧州委員会の3者による調停委員会が予定されており、規制案の内容で最終合意するとの見方も出ていたが、加盟国間の意見調整が不調に終わったことを受けて会議は延期された。今週ルクセンブルクで開かれる財務相理事会で引き続き協議が行われる見通しだが、欧州議会は20日に予定していた本会議での採決を11月に延期する方針を決めた。

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ファンド規制はヘッジファンドのほか、未公開株式を投資対象とするプライベート・エクイティ・ファンド、不動産ファンド、コモディティファンドなどを対象に、EU域内での活動を認可制としたうえで、投資方針や運用手法、リスク管理システムなどの情報開示を義務付けるという内容。自己資本規制を導入し、資産規模に応じて資本金の積み増しを義務付けることや、金融安定化のため、当局にレバレッジを制限できる権限を与えることなども盛り込んでいる。

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焦点となっているのはEU域外の第3国に登記しているファンドの扱い。英国などはEUが定める基準を満たすことを条件に、域外のファンドにも域内の1カ国で認可を取得すればEU全域で活動が認められる「パスポート制度」を適用する案を支持しているが、当初フランスはこれに強く反対していた。仏側は譲歩案として、来年1月に新設される欧州証券監督機構(ESMA)に域外のファンドがEU基準を満たしているかどうか判断する権限を与えることを提案。これに対し、英国などはESMAが強大な権限を持つことに難色を示している。

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英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、13日の会合では議長国ベルギーが妥協案として、第3国が自国ファンドに対する規制に関してEU加盟国と個別に「協力協定」を結ぶことを条件に、域外のファンドにもパスポート制度を適用するという新たな提案を行った。しかし、このシステムが導入された場合、協力協定を結んでいない国ではEU共通のパスポートが「無効」となるため、事実上の適用除外を認めることに多くの国が難色を示したもよう。会議に出席したある外交筋は「27カ国のビザがついたパスポートのようなものだ」とベルギー案を批判した。

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