2010/10/18

環境・通信・その他

加盟国が条件付きで京都議定書の延長容認、COP16での妥結目指し方針転換

この記事の要約

EU加盟国は14日の環境相理事会で、11月末からメキシコのカンクンで開かれる国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)に向けたEUの対応について協議し、2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議 […]

EU加盟国は14日の環境相理事会で、11月末からメキシコのカンクンで開かれる国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)に向けたEUの対応について協議し、2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定書)について、条件付きで京都議定書の延長を容認する方針を決めた。米国や中国などの主要排出国が応分の排出削減を約束することが条件となる。EUはこれまで京都議定書に代わる法的拘束力のある合意文書の策定を目指してきたが、不調に終わった昨年末のCOP15以降、国際交渉は暗礁に乗り上げている。このためCOP16での合意形成を最優先に、途上国が求める京都議定書の延長を受け入れる方針に転換した。

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環境相理で採択した文書は「法的拘束力を持つ単一文書」の早期採択が不可欠との従来の立場を強調したうえで、12年に約束期間が終了する京都議定書について、13年以降の「第2段階の約束期間について検討する用意がある」と表明。ただし「すべての主要排出国が関与する世界的な枠組み」であることが条件になるとの文言を盛り込んだ。

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欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)は会見で「もし無条件で京都議定書の延長を認めれば、二酸化炭素(CO2)排出量を削減することは不可能だろう」と指摘。世界全体の温室効果ガス排出量のうち米国と中国の占める割合が合わせて40%に上ることなどに触れ、両国に一層の取り組みを求めた。

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一方、環境相理では20年を達成期限とする温室効果ガスの削減目標についても話し合われた。EUは他の主要排出国が相応の取り組みを約束することを条件に、20年までの削減目標を現在の「90年比で20%削減」から「30%削減」に引き上げる方針を打ち出しているが、英独仏などは環境分野の競争でEUが優位に立つためにも目標を高く設定する必要があるとして、早い段階で30%削減をEUの公約とするよう主張している。これに対し、ポーランドなど旧東欧諸国は経済成長の足かせになるとして温暖化対策に消極的な姿勢を示しており、加盟国の足並みは揃っていない。今回の会議でも推進派と反対派の溝は埋まらず、来年に結論を先送りした。

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