2010/11/1

産業・貿易

欧州委が単一市場強化に向けた施策を発表、中小企業支援など50の提案

この記事の要約

欧州委員会は10月27日、域内における人・モノ・サービス・資本の自由な移動を可能にする単一市場を完全に実現するため、EUが優先的に取り組むべき課題をまとめた政策文書を発表した。国ごとに異なる法律や官僚主義的な規制など、単 […]

欧州委員会は10月27日、域内における人・モノ・サービス・資本の自由な移動を可能にする単一市場を完全に実現するため、EUが優先的に取り組むべき課題をまとめた政策文書を発表した。国ごとに異なる法律や官僚主義的な規制など、単一市場の形成を妨げている要素を排除して、EU市民と企業が域内のどこでも同じ権利を行使できるようにするための50の提案が盛り込まれている。欧州委は4カ月間の意見公募を経て具体策をまとめ、2012年末までの実施を目指す。

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政策文書はEU市民が域内の他の国でも自国と同じ権利を行使できるようにするための施策の方向性をまとめた「EU市民権リポート」と、EU経済の成長と競争力強化に向けた中小企業への支援策などを柱とする「単一市場法(Single Market Act)」の2部構成になっている。市民権リポートはEU市民が旅行で域内を移動したり、留学、就職、結婚などのため域内の他の国で生活する際に直面するさまざまな問題について分析。年金や健康保険などに関する情報を各国当局が共有できるシステムを構築し、就労者が移転先で速やかに権利を行使できるようにすることや、域内の他の国で自動車を購入した場合の登録手続きの簡素化、域内で国際結婚したカップルが訴訟を起こす場合の管轄権などについて共通ルールを導入することを提案している。

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一方、単一市場法は中小企業の資金調達を支援するための具体策として、上場基準の見直し、会計ルールの簡素化、公共調達市場への参入促進、域内の複数の国で活動する企業を対象とする共通税制の導入などを挙げている。このほか社会起業家の育成、国ごとに異なる専門職の資格認定制度の見直し、オンラインコンテンツの流通促進に向けたEU共通の著作権管理システムやライセンス制度の確立などを優先課題として挙げている。

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