2010/11/1

環境・通信・その他

排出量取引制度のCDMクレジット利用、欧州委がHFC-23などの全面禁止を検討

この記事の要約

京都議定書の約束期間が終了する2013年以降の枠組みにおけるクリーン開発メカニズム(CDM)の改革をめぐる議論が本格化するなか、欧州委員会はEU排出量取引制度(EU-ETS)との関連で、産業用ガスの製造プロジェクトを通じ […]

京都議定書の約束期間が終了する2013年以降の枠組みにおけるクリーン開発メカニズム(CDM)の改革をめぐる議論が本格化するなか、欧州委員会はEU排出量取引制度(EU-ETS)との関連で、産業用ガスの製造プロジェクトを通じて取得したCDMクレジットの利用を厳しく制限する方向で検討を進めている。10月27日付けブルームバーグによると、特にHFC-23と亜鉛化窒素に関連するCDMプロジェクトからのクレジットに関しては、排出枠を課された企業が削減実績に組み入れたり、市場で取引することを禁止する案が浮上しており、EU加盟国と欧州議会の承認が得られれば、EU-ETSの第3期がスタートする13年から実施される可能性がある。

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CDMをめぐっては、欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)が8月、13年以降はプロジェクトの質に応じてEU-ETSへのクレジットの利用を制限する必要があるとの考えを表明。代替フロンをはじめとする産業用ガスの製造プロジェクトを通じて取得したCDMクレジットの利用に対して「新たな質的制限」を加えるため、具体策の検討に入ったことを明らかにしていた。

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欧州委気候変動総局の排出量取引ユニット責任者イボン・スリンゲンベルク氏はブルームバーグとのインタビューで、「HFC-23と亜鉛化窒素に関連した特定のタイプのプロジェクトについて、CDMクレジットの利用を制限する方向で検討しており、全面禁止も選択肢に含まれている」と発言。欧州委が素案をまとめ、現在、EU内で協議が進められていることを明らかにした。

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同氏は一方、「炭素市場には金融市場のルールが導入されており、考えられる最も高い保護レベルが確保されている」と指摘。そのうえで「問題があるとすればスポット取引と店頭取引だ」と述べ、排出権取引市場で不正な取引が行われるのを防ぐため、市場の保護レベルを検証して必要な措置を講じる必要があるとの認識を示した。欧州委が年内に報告書をまとめ、意見募集を行うと共に費用便益分析を進めるとしている。

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