2010/11/1

環境・通信・その他

クロマグロ漁獲枠削減案に反対相次ぐ、南欧諸国は現状維持を主張

この記事の要約

EU加盟国は10月26日に漁業省担当相理事会を開き、太平洋・地中海産クロマグロの来年以降の漁獲枠について話し合ったものの、欧州委員会が提案している大幅削減には地中海沿岸各国から反論が相次いだ。今月17~27日にパリで開催 […]

EU加盟国は10月26日に漁業省担当相理事会を開き、太平洋・地中海産クロマグロの来年以降の漁獲枠について話し合ったものの、欧州委員会が提案している大幅削減には地中海沿岸各国から反論が相次いだ。今月17~27日にパリで開催される大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の年次総会に向けて欧州委はEU各国の意思を統一する必要があり、今後も協議を続ける。

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欧州委はクロマグロの資源量を持続可能な水準に回復させるため、来年の漁獲枠を今年の1万3,500トンから6,000トンに引き下げることを提案している。しかしフランスのルメール漁業相は「安定的な漁獲枠が資源を維持すると同時に漁業関係者の職を保証する」と主張し、漁獲枠を6,000トンに引き下げればフランスでは漁業関連で500人が失職すると強く反対した。

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同理事会ではフランスの反対意見にキプロスやギリシャ、イタリア、マルタ、ポルトガル、スペインの各国が同調。ドイツやスウェーデンは態度を明確にせず、欧州委の提案に支持を表明したのは英国だけだったという。ICCATの科学委員会は現行の漁獲枠を維持した場合でも2022年までには資源は回復するとの見解を示している。これが削減反対の根拠になり、南欧各国は漁獲枠削減を明確な科学的見解に基づいて決める必要があると主張している。しかし欧州委のダマナキ委員(漁業・海事担当)は、科学者の見方を基に漁獲枠を6,000トンに減らすことで2020年までに持続可能な資源量に回復できる確率は66%と説明している。

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