2010/11/15

産業・貿易

英トワイニング、ポーランド移転めぐる補助金に疑問符

この記事の要約

英国の老舗の紅茶製造・販売会社トワイニングが、生産施設を英国からポーランドに移管するのに伴い、EUの地域開発基金から補助金を受給したことをめぐり、欧州委員会はこのほど、補助金支給を認めたポーランド政府に確認をとっているこ […]

英国の老舗の紅茶製造・販売会社トワイニングが、生産施設を英国からポーランドに移管するのに伴い、EUの地域開発基金から補助金を受給したことをめぐり、欧州委員会はこのほど、補助金支給を認めたポーランド政府に確認をとっていることを明らかにした。EUの規定では補助金は新規投資だけが対象となり、域内での工場移管には認められていない。

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トワイニングはポーランド西部のポズナン西郊にあるスバジェンツに4,300万ユーロを投じて紅茶の製造・包装工場を建設しているが、10月に投資額のほぼ10%に当たる4,100万ズロチの補助金を受け取ることでポーランド政府と契約を結んだ。しかし同社は、英国北部のタインサイドにあるノース・シールズの工場を来年9月までに閉鎖することを決めており260人以上が失職するほか、英国南部ハンプシャーにあるアンドーバーの工場を縮小し従業員を半減する計画で、失職者は合わせて400人近くに上る。すでにノース・シールズ工場の従業員は、機械操作についてポーランド人従業員の訓練を依頼されているという。

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これに対して英国側の従業員や工場の地元の国会議員などからは、「英国の雇用を国外に移管するために納税者の税金を投じている」との批判の声が出ている。EUの基金は英国政府も負担しているためだ。批判についてトワイニングは、補助金は紅茶のブレンドや包装の新技術への投資に使うものでEUの支援の基準を満たしており、ポーランド政府も基準に合致しているからこそ支援を承認したと主張している。また、補助金支給を管轄するポーランドの地域開発省は、施設移管への支援を禁じるEUの規定では中小企業は対象となっておらず、トワイニングのポーランド子会社からの補助金申請を却下する根拠はないと説明している。

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欧州委のハーン委員(地域政策担当)は、ポーランド政府に対して補助金が工場移管に使われていないとの保証を求めていることを明らかにした。なおトワイニングは海外向けの紅茶は中国の工場とポーランドの新工場で生産し、英国国内向けの大部分はアンドーバー工場が手がけるという。

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