2010/11/22

競争法

シンジェンタの米社ヒマワリ種子事業買収を承認

この記事の要約

欧州委員会は17日、スイスの農業化学大手シンジェンタが米同業モンサントのヒマワリ種子事業を買収する計画を条件付きで承認した。シンジェンタは、欧州委が競争上の懸念を示していたスペインとハンガリーのハイブリッド・ヒマワリ種子 […]

欧州委員会は17日、スイスの農業化学大手シンジェンタが米同業モンサントのヒマワリ種子事業を買収する計画を条件付きで承認した。シンジェンタは、欧州委が競争上の懸念を示していたスペインとハンガリーのハイブリッド・ヒマワリ種子事業でモンサントの関連事業を手放すことを求められる。

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シンジェンタとモンサントは欧州のヒマワリ種子で2大大手。シンジェンタは昨年8月にモンサントの全世界のヒマワリ種子事業を1億6,000万ドルで取得することで合意していた。これによりシンジェンタは米国のヒマワリ種子市場に参入する。

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欧州委の調査では、取引によりシンジェンタはスペインとハンガリーのハイブリッド・ヒマワリ種子の商業化で圧倒的なシェアを確保するとともに、EU内のヒマワリ種子の品種で交換やライセンス化を減らすことが判明。これが技術革新を妨げるとともに競合企業の参入を阻止し、ハイブリッド・ヒマワリ種子の選択肢を減らす懸念が浮上した。

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これに対してシンジェンタは、スペインとハンガリーでモンサントが過去2年間に商業化したハイブリッド・ヒマワリ種子や両国で登録に向けて試験中の同種子を手放すとともに、これらの種子の開発に使われるモンサントの親系統にあたる種子および両国向けのハイブリッド種子の生産を目的に開発中の親系統の種子を売却することを提案した。これには親系統の種子の使用・交配・品種改良・ライセンス化の権利、ハイブリッド種子の商業化やライセンス化の権利も含まれる。こうした商業化権は開発段階によって適用される地理的範囲も多様で、EUのほか欧州のヒマワリ種子産出で重要なロシアやウクライナ、トルコが含まれる場合もある。

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この提案によりシンジェンタが売却する事業を取得した企業は、EU内におけるヒマワリ種子の品種の取引やスペインとハンガリーにおけるヒマワリ種子の商業化の市場で、シンジェンタに対するモンサントの競合企業としての展開を引き継ぐことができるため、欧州委は競争上の懸念は解消すると判断した。

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