2010/11/22

環境・通信・その他

EUがクロマグロ漁獲枠の大幅削減見送り、現状維持で決着か

この記事の要約

EU加盟国は17日に開いた大使級会合で、太平洋・地中海産クロマグロの来年以降の漁獲枠について協議し、漁獲枠を現状維持か小幅の減少にとどめることで合意した。EUはこの日にパリで始まった大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCA […]

EU加盟国は17日に開いた大使級会合で、太平洋・地中海産クロマグロの来年以降の漁獲枠について協議し、漁獲枠を現状維持か小幅の減少にとどめることで合意した。EUはこの日にパリで始まった大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の年次総会に向けて意思を統一する必要があり、欧州委員会は大幅な削減を求めていたものの地中海沿岸諸国が強く反対したため削減を断念した。

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欧州委は10月にクロマグロの資源量を持続可能な水準に回復させるため、来年の漁獲枠を今年の1万3,500トンから6,000トンに引き下げることを提案。しかしフランスやイタリア、マルタ、スペインなどが国内の漁業関係者にとって打撃になるとして反発していた。欧州委は今回の合意について、科学的助言だけに基づいたものではなく漁業関係者の利益も考慮することになると表明している。域内の外交筋によれば、各国は2,000トン程度の削減なら受け入れる用意があるという。

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ICCATの総会は今月27日まで開かれ、48カ国の代表がクロマグロの総漁獲枠をめぐって交渉を進めるが、EUが大幅削減の要求を見送ったことで現状維持から小幅削減で落ち着く可能性が強まってきた。グリーンピースなど環境保護団体は科学者の見解をもとに、漁獲枠を6,000トンに引き下げれば2020年までに持続可能な水準に回復する確率は66%程度になると主張していた。

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