2010/11/22

環境・通信・その他

欧州委が身障者向け戦略を提案、バリアフリーの欧州を目指す

この記事の要約

欧州委員会は15日、身体障害者の移動を円滑化し社会参加を促進するため、身体障害者を対象としたサービス・製品の基準や各種規定をEU域内で統合する新戦略を提案した。バリアフリーの欧州は社会的な使命というだけでなく、推定で年間 […]

欧州委員会は15日、身体障害者の移動を円滑化し社会参加を促進するため、身体障害者を対象としたサービス・製品の基準や各種規定をEU域内で統合する新戦略を提案した。バリアフリーの欧州は社会的な使命というだけでなく、推定で年間に300億ユーロを超えるとされる支援機器やサービスの市場を拡大し、経済にも大きな効果をもたらすことが期待できるという。

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EU内では約8,000万人が軽度から重度まで何らかの障害を抱えており、これはEU市民の6人に1人に当たる。75歳以上の高齢者では身体的に自由が制限される人が3人に1人を超え、高齢化の進展にともなってこうした人々の数が増えることが見込まれている。

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今回の戦略では身体障害者を対象とした製品やサービスを使やすくするため、基準の導入や公的調達、公的支援のルールなどを検討する。また各国の障害者カードなどの相互認証により域内のどこでも交通機関の割引などを受けられるようにし、選挙権を行使する際の手話や点字の利用なども拡大する。このほか支援サービスを提供する専門職などの労働条件の改善し、身体障害者が安全で快適に移動する可能性に対する一般の意識向上を図り、身体障害者の状況や日常生活で直面するバリアに関する情報を集め監視していく。

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障害者向けのサービスを拡大することは経済効果に結びつくことが認められており、たとえば英国ではスーパーのチェーンが3万5,000ポンドをかけてウェブサイトを改善したところ売上高が年に1,300万ポンド増えたという。またドイツでは調査により、身体障害者が旅行しやすい環境を整備することで国内の観光産業に6億2,000万~19億ユーロの効果があることが明らかになっている。

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欧州委では、こうした製品やサービスの単一市場を拡充するため2012年までに「欧州アクセス可能性法」を提案することも検討している。欧州委のレディング副委員長(司法・基本的権利・市民権担当)は、「目標は2020年までに身体障害者にとって本当のバリアフリーの欧州を実現させること」と語っている。

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