2010/12/6

産業・貿易

銀行向け公的支援策を11年末まで延長、再建計画提出を条件に

この記事の要約

欧州委員会は1日、EU域内の銀行に対する国家補助の枠組みを定めた金融支援策について、認可条件を厳格化したうえで2011年末まで適用を延長する方針を発表した。米国発の金融危機から2年が経過し、欧州委は金融政策の正常化に向け […]

欧州委員会は1日、EU域内の銀行に対する国家補助の枠組みを定めた金融支援策について、認可条件を厳格化したうえで2011年末まで適用を延長する方針を発表した。米国発の金融危機から2年が経過し、欧州委は金融政策の正常化に向けて段階的に銀行への公的支援を制限する方針を打ち出しているが、財政・金融危機に直面するアイルランドなどの情勢を踏まえ、引き続き金融システムの安定化に注力する。

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銀行が各国政府から資本注入などの資金支援を受ける際、現行ルールでは支援規模がリスク資産の2%を超える場合に限り、事前に具体的な再建計画の提出が義務づけられている。しかし、来年1月以降は公的支援を申請するすべての銀行に再建計画の提出が義務づけられる。

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欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「金融危機を受けた国家補助の新たな枠組みを設定してから2年近くが経過し、徐々に正常な市場機能を回復すべき時期にさしかかっている」と指摘。12年には銀行に対して通常の国家補助規定を適用できる状態になるとの希望的観測を示しつつも、「11年末までに金融システムが完全に正常化する保証はない」と警告。今の段階で現行の枠組みを打ち切る時期を設定することは「時期尚早」と述べた。

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欧州委は一方、08年9月のリーマン・ショック以降、EU加盟国が金融機関への支援策として確保した資金枠が総額4兆5,890億ユーロに達したことを明らかにした。内訳は政府による融資保証が8割近くを占めており、資本増強策と不良資産の買い取りが2割強となっている。

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