2010/12/6

産業・貿易

格付け会社規制でESMAの権限強化、制裁金は年間売上高の最大20%

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は1日、双方の代表による調停委員会を開いて格付け会社に対する規制強化について協議し、来年1月に発足する欧州証券監督機構(ESMA)に格付け会社への立ち入り調査を実施したり、違反行為に対して制裁金を科す […]

EU加盟国と欧州議会は1日、双方の代表による調停委員会を開いて格付け会社に対する規制強化について協議し、来年1月に発足する欧州証券監督機構(ESMA)に格付け会社への立ち入り調査を実施したり、違反行為に対して制裁金を科す権限を与えることで合意した。月内に閣僚理事会と欧州議会で新規制が正式に承認される見通しだ。

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EUは金融危機を受けた規制改革の一環として、昨年4月に格付け会社に対する規制案を採択。格付けの透明性向上に向けてEUレベルでの一元的な監督体制を確立するため、域内で活動するすべての格付け会社にESMAへの登録を義務づけるルールを導入した。しかし、欧州委はギリシャの国債格下げをきっかけに金融市場の混乱が深まったとの分析に基づき、より一段の規制が必要と判断。今年6月にESMAの大幅な権限強化を柱とする規制強化策を打ち出した。

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調停委での合意によると、ESMAは格付け手法を含めた情報開示を要求したり、立ち入り調査を実施する権限が与えられる。さらにEUが定める規則に違反した格付け会社に対し、年間売上高の最大20%に相当する制裁金を科すことができる。

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一方、欧州委はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスの3大格付け会社による独占体制が格付けの信頼性を損ねているとの批判を踏まえ、複数の機関が格付けを行える仕組みを構築する必要があると指摘。ストラクチャードファイナンス業務を展開する銀行や投資会社などに対し、契約関係にある格付け会社に提供した情報を他の格付け会社にも開示することを義務付けるルールの導入を提案していた。欧州議会は欧州委案を支持していたが、一部の加盟国の強い反対で最終的に同ルールの導入は見送られた。

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