2010/12/6

競争法

米グーグルに競争法違反の疑い、EUが正式調査を開始

この記事の要約

欧州委員会は11月30日、インターネット検索最大手の米グーグルがEU競争法(独占禁止法)に違反している可能性があるとして、正式な調査に着手すると明らかにした。検索および検索広告サービスで最大のシェア(域内市場の90%以上 […]

欧州委員会は11月30日、インターネット検索最大手の米グーグルがEU競争法(独占禁止法)に違反している可能性があるとして、正式な調査に着手すると明らかにした。検索および検索広告サービスで最大のシェア(域内市場の90%以上)を持つグーグルには、その優越的な地位を利用し、同業他社を市場から締め出した反競争的行為の疑いが持たれている。

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グーグルをめぐる疑惑は、◇検索結果や検索連動広告に表示される企業に「クオリティー・スコア」で順位を付け、掲載順序を恣意的に操作(競合他社の関連サイトを一覧の後ろの方に表示)していた◇広告主との間で、グーグルの同業他社への広告掲載を制限するような契約を結んでいた◇広告掲載料を不当に高く設定していた――など。欧州委は今年2月から、英国の価格比較サイト「ファウンデム」、仏の法律関連検索サイト「ejustice.fr」、マイクロソフトが傘下の検索サイトBingを通じて所有するオンラインショッピング・サイト「Ciao」からの苦情申し立てを受け、予備調査を行っていた。3社はグーグルの検索結果で上位に表示されず、「不当な扱いだ」と訴えていたほか、グーグルの態度が「イノベーションや競争を抑圧し、消費者の選択の権利を侵害している」(ファウンデム)などと非難していた。

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こうした指摘に対してグーグルは、「将来においても、改善の余地は常に残る。懸念事項とされる点への対応について、欧州委と協力していく」と表明。オープンソース関連のプロジェクトにも多額の投資をしていることなどを強調した。競合他社の広告サイトへの掲載を禁じた独占契約の締結を広告主に義務付ける方針は、約2年前に廃止したとも説明している。また、特定の企業の表示順位が低くなることについては「説得力のある理由」を示してきたと主張。たとえば「ファウンデム」は、コンテンツの79%が他社コンテンツの複製であり、そうした場合には下位に掲載されることを再三にわたって同社に通知してきたという。

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違法行為があったと欧州委が判断した場合、グーグルには全世界における利益の最大10%という巨額の罰金が科される。今年7~9月期の純利益は、21億7,000万ユーロに上っている。なお、グーグルは独、仏、伊の各国でも独禁法違反の疑いで調査対象となっており、米国では訴訟を起こされている。

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