2010/12/6

競争法

製薬会社に後発薬参入阻止の疑い、アストラゼネカなどに立ち入り調査

この記事の要約

欧州委員会は3日、複数の製薬会社がジェネリック薬(後発医薬品)の参入を不当に阻止している疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を実施したことを明らかにした。対象企業は非公表だが、英アストラゼネカ、米ナイコメッドが調査を […]

欧州委員会は3日、複数の製薬会社がジェネリック薬(後発医薬品)の参入を不当に阻止している疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を実施したことを明らかにした。対象企業は非公表だが、英アストラゼネカ、米ナイコメッドが調査を受けたことを確認している。

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立ち入り調査は11月30日にEU内の複数の国で実施された。欧州委は声明で、関係各社は単独または結託して、自社が開発した製品のジェネリック薬が出回ることを遅らせている疑いがあるとしている。

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アストラゼネカの広報によると、ロンドンの本部を含む欧州内の複数の事業所に立ち入り調査が入った。同社の主力薬である潰瘍治療薬「ネクシウム」が焦点になっているという。ナイコメッドはドイツにある工場が対象となった。

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EUは大手製薬会社が結託して、低価格で販売されるジェネリック医薬品の投入を遅らせているとの見方を強め、2008年1月に米ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、英グラクソ・スミスクライン、アストラゼネカ、仏サノフィ・アベンティス、独メルクなどへの立ち入り調査を実施。その結果、大手製薬会社が特許の囲い込みなどさまざまな方法でジェネリック薬の投入を遅らせているとする報告書を2009年に公表し、監視を強める方針を打ち出していた。

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アストラゼネカは2005年、同社が開発した潰瘍治療薬「ロセック」をめぐり、1993年から2000年にかけて特許制度を悪用してジェネリック薬の参入を妨害したとして、欧州委からEU競争法違反で5,250万ユーロの制裁金支払いを命じられた経緯がある。

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今回問題となっているネクシウムは、多くのEU加盟国で特許が切れているが、ロイター通信によると、これまでのところジェネリック薬の流通はドイツなど一部の市場にとどまっているという。

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