2010/12/13

総合 –EUウオッチャー

アイスランドが預金返済問題で英蘭と合意、有利な条件で交渉妥結

この記事の要約

金融危機で経営破たんしたアイスランドの大手銀行に口座を持っていた英国とオランダの預金者への返済問題をめぐる関係国の交渉が9日妥結した。アイスランドは国民投票で否決された当初の返済条件よりも有利な内容で合意を取り付けた。こ […]

金融危機で経営破たんしたアイスランドの大手銀行に口座を持っていた英国とオランダの預金者への返済問題をめぐる関係国の交渉が9日妥結した。アイスランドは国民投票で否決された当初の返済条件よりも有利な内容で合意を取り付けた。これにより2年にわたる同問題の決着が近づいてきた。

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アイスランドは08年に破たんした大手銀行ランズバンキのネット銀行「アイスセーブ」の外国人口座を閉鎖し、34万人に上る英、オランダ人預金者の約50億ドルに上る資金を凍結。これを肩代わりして国内の預金者に払い戻した英、オランダ政府は、アイスランドに返済を求めている。アイスランドは09年末にいったんは返済法案をまとめたが、大統領の署名拒否を受けて今年3月に実施された国民投票で93%の反対で否決された。アイスランドは7月にEUとの加盟交渉を開始したが、英、オランダは返済するまで加盟を認めないとしており、早期加盟を目指す同国政府にとって同問題の解決が急務となっている。

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今回の合意によると、アイスランドは最大50億クローナ(4億3,400万ドル)の利子をつけて返済する。利子の発生は2009年10月。2011年から利払いが開始される。2009年~2016年までの利子は英国向けが3.3%、オランダ向けが3%で、前回合意の5.55%より低い水準だ。2017年以降は民間の基準金利に基づいて設定される。

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元本50億ドルの返済開始は2016年から。返済期限は最長で2046年まで延長される。利払いを含めた返済期間は前回合意の15年から37年に延長されることになる。

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返済合意の実現にはアイスランド議会の承認とグリムソン大統領の署名が必要となる。議会承認は、今回の交渉に野党議員も参加していたことから、ほぼ確実な情勢。前回に拒否権を発動したグリムソン大統領が応じるかどうかが焦点となる。署名を拒否すれば、再び国民投票にかけられることになる。

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