2010/12/13

産業・貿易

「EU共通特許」を先行導入、独仏など10カ国が正式申請

この記事の要約

フランス、ドイツなどEU10カ国が、EU共通の単一特許制度を他の加盟国に先駆けて導入することを欧州委員会に正式申請したことが8日明らかになった。同制度の創設をめぐる協議が紛糾し、27カ国そろっての実施の目途が立っていない […]

フランス、ドイツなどEU10カ国が、EU共通の単一特許制度を他の加盟国に先駆けて導入することを欧州委員会に正式申請したことが8日明らかになった。同制度の創設をめぐる協議が紛糾し、27カ国そろっての実施の目途が立っていないことを受けたもの。10カ国はEU全域での特許取得コストが大幅に節減できる同制度の早期導入が必要とし、賛同国だけによる「先行統合」を目指す。

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現在EUで特許を取得する仕組みとしては、各国で出願して個別に審査を受ける方法と、欧州特許庁(EPO)に出願して「欧州特許」を取得する方法がある。ただ、欧州特許も最終的な認可権限は各国の特許庁が握っており、特許を取得したい国の制度に合わせてそれぞれ書類を用意しなければならない。とくに出願資料を各国の言語に翻訳する必要があり、これが大きなコスト負担を強いている。

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これに対して欧州委は、域内全域で有効な「EU特許」を創設し、英・仏・独語のうち1つの言語だけで出願できる仕組みの導入を提案している。しかし、使用言語をめぐる調整が難航し、11月に行われた加盟国の協議ではスペインとイタリアが、自国言語が選択肢から除外されることに強く反発し、物別れに終わった。

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EU基本条約では、ある分野の共通ルール導入について、27カ国がそろわなくても有志による先行統合が9カ国以上の参加を条件に認められている。特許問題で先行統合を目指しているのは、ドイツ、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ルクセンブルク、エストニア、リトアニア、スロベニアの10カ国。欧州委員会に書簡で正式申請した。

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