欧州議会は15日の本会議で、EUの2011年予算案を承認した。予算規模は前年比2.9%増の1,265億ユーロ。欧州議会は当初、前年比6.2%の増額を要求しており、欧州委員会も同5.9%増の予算案を提示していたが、巨額の財政赤字を抱える加盟国政府が強く反発。最終的に予算規模は大幅に圧縮された。
\予算協議では、欧州委が10月に提示した約1,300億ユーロ規模の原案に対し、緊縮財政を進める加盟国側が「2.9%を超える予算の拡大は認められない」と主張した。一方、昨年12月に発効したリスボン条約によって権限が拡大された欧州議会は、2.9%増で妥協する代わりに予算審議における発言権の強化を明文化するよう要求。両者の激しい対立で一度は協議が決裂し、年内の予算成立が危ぶまれていた。予算の成立が遅れた場合、新設されたEUの外務省にあたる「欧州対外活動庁(EEAS)」や、来年1月に発足する新たな金融監督機関の活動に必要な財源の確保が困難になり、重要政策への影響は不可避の情勢だった。
\欧州委が11月末に提示した新たな予算案をめぐる再協議では、欧州議会が大幅な予算圧縮を容認する一方、加盟国側は14-20年の中期予算計画の策定プロセスに欧州議会が参加することに同意した。ただし、権限拡大の明文化を求める議会側の主張は認められなかった。
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