2011/1/3

総合 –EUウオッチャー

エストニアがユーロ導入、EU通貨統合17カ国に

この記事の要約

エストニアが1日に欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ現金の流通が始まった。2004年のEU東方拡大以降に加盟した国のユーロ参加は、キプロス、マルタ、スロベニア、スロバキアに続き5カ国目。旧ソ連邦諸国では初めてとなる。これ […]

エストニアが1日に欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ現金の流通が始まった。2004年のEU東方拡大以降に加盟した国のユーロ参加は、キプロス、マルタ、スロベニア、スロバキアに続き5カ国目。旧ソ連邦諸国では初めてとなる。これによりユーロ圏は17カ国体制に拡大した。

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ユーロ参加には財政均衡、インフレ率などの基準を満たす必要がある。欧州委員会は2010年5月にエストニアが導入基準を満たしていると認定。EUは7月の財務相理事会でエストニアの2011年1月からのユーロ導入を正式承認していた。

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首都タリンのオペラハウスで12月31日深夜に行われたユーロ導入記念式典には、アンシプ首相のほか、同じバルト3国のリトアニア、ラトビアの首相、欧州委員会のカラス副委員長(運輸担当)らが出席。特設された現金自動預払機(ATM)から国内で最初にユーロ紙幣を引き出したアンシプ首相は、「エストニアのユーロ参加は、ユーロ圏にとっては小さな一歩だが、エストニアにとっては大きな一歩だ」と喜びを表した。

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エストニアは2002年から対ユーロ固定相場制を導入しており、旧通貨クローンとユーロの交換比率は同制度に基づく1ユーロ=15.6466クローンとなる。国内ではユーロ導入後も2週間は買い物でクローンを使用できる。全銀行が12月から実施しているクローンを手数料なしでユーロと交換するサービスは、7月から一部の支店に限られ、12月末で廃止となる。ただし、エストニア中央銀行は無期限でクローンとユーロの交換に応じる。

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EUの中東欧諸国は当初、積極的にユーロ参加の準備を進めていた。しかし、ギリシャに端を発したユーロ危機を受けて風向きが大きく変わり、ユーロ導入の目標時期を明確に掲げているのは2014年の導入を目指すリトアニア、ラトビアだけ。ポーランド、チェコなど多くの国がユーロ導入に慎重な姿勢に転じている。ユーロ圏の新たな拡大は当面なさそうな雲行きだ。

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