2010/12/20

総合 –EUウオッチャー

ベルギー国債の格付け見通し引き下げ、政治空白による財政再建放置で=S&P

この記事の要約

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は14日、ベルギー国債の格付け見通しを現在の「安定的」から「ネガティヴ(弱含み)」に引き下げたと発表した。政治の空白が続き、財政再建が遅れていることを材料視し […]

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は14日、ベルギー国債の格付け見通しを現在の「安定的」から「ネガティヴ(弱含み)」に引き下げたと発表した。政治の空白が続き、財政再建が遅れていることを材料視した。

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ベルギーの単年の財政赤字は、2010年に国内総生産(GDP)比4.8%となる見通し。EUの財政規律で上限となっている同3%を上回っているものの、信用不安がくすぶるアイルランド(32.3%)、ギリシャ(9.6%)、ポルトガル(7.3%)と比べてはるかに低い水準にある。ただ、政府債務残高はGDP比94.6%と、上限の60%を大幅に超過している。

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こうした中、6月に実施された総選挙で、北部オランダ語圏の分離・独立を掲げる民族主義政党が大躍進して第1党となり、連立交渉が難航。6カ月たっても新政権が発足せず、レテルメ首相の暫定政権が目先の事務処理をこなしている状況にある。

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S&Pは「長引く内政の混迷は、ユーロ圏の多くの政府と同じような厳しい市場環境に直面している時だけに、信用のリスクとなっている」と指摘。政治空白のため抜本的な財政再建計画を策定できないとして、この状況が続けば6カ月以内にベルギー国債を現在の「AAプラス」から1段階格下げすると警告した。

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ベルギー長期国債の利回りは上昇しており、ユーロ圏の指標となるドイツ国債との利回り格差は10%を超えている。

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