2011/1/3

総合 –EUウオッチャー

“ユーロ防衛基金”が1月から起債開始、アイルランド支援の資金調達

この記事の要約

欧州委員会は12月21日、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う“ユーロ防衛基金”が、アイルランド支援に必要な資金を調達するため、1月から起債を開始すると発表した。2011、12年の2年間で最大500億ユーロの […]

欧州委員会は12月21日、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う“ユーロ防衛基金”が、アイルランド支援に必要な資金を調達するため、1月から起債を開始すると発表した。2011、12年の2年間で最大500億ユーロの債券を発行する計画だ。

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ユーロ防衛基金は総額7,500億ユーロ。EUが5,000億ユーロ、国際通貨基金(IMF)が2,500億ユーロを負担する。EUの基金は、ユーロ参加国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)の2つからなる。起債を実施するのはEFSFとEFSM。

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欧州委によると、EFSMは1月初めに第1弾の起債を実施、続いてEFSFが同月下旬に起債する。EFSMはアイルランド支援用に、2011年に最大176億ユーロ、12年に同49億ユーロの債券を発行する予定。11年の起債は4-5回に分けて実施し、各30~50億ユーロの調達を見込む。EFSFは11年に最大165億ユーロ、12年に同100億ユーロを調達する計画。11年には3回の起債(各30~50億ユーロ)を行う。ともに5年、7年、10年物の債券が中心になるという。

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EUは第1弾の起債の具体的な日程、発行規模など詳細は、年明けの市場動向をにらみながら固める方針だ。両基金の債券は、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など大手格付け機関から、最高評価となる「AAA」の格付けを取得しており、起債は順調に実施される公算が大きい。

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EUとIMFは12月、深刻な信用不安に直面するアイルランドにユーロ防衛基金から総額850億ユーロの緊急融資を実施することを決定した。EFSMとEFSFは2011年1-3月期に総額117億ユーロを融資することになっている。

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