2011/1/3

競争法

牛乳生産者に競争法適用除外、生産量割当廃止の影響軽減で

この記事の要約

欧州委員会は先ごろ、EU域内の牛乳生産者が卸売業者や小売業者との取引で生産者団体を通じて契約条件を集団交渉することについて、競争法の適用除外とし、例外的に認めることを提案した。これは域内の牛乳生産量を割り当てる制度が20 […]

欧州委員会は先ごろ、EU域内の牛乳生産者が卸売業者や小売業者との取引で生産者団体を通じて契約条件を集団交渉することについて、競争法の適用除外とし、例外的に認めることを提案した。これは域内の牛乳生産量を割り当てる制度が2015年までに段階的に廃止され、市場自由化が進むことによる牛乳生産者への影響を軽減する狙いがある。

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提案によれば、牛乳生産者に対して牛乳加工業者の間で牛乳の納入前に価格の詳細や納入量、納入時期、納入期間を取り決めた書面による契約を結べる選択肢を導入し、こうした契約の交渉では生産者団体を通じて集団交渉をすることを認める。これは一種のカルテルを容認するものだが、こうした競争法の一括適用除外は自動車業界や保険業界の一部でも認められている。

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ただし、牛乳生産者の交渉力を強化しながらも牛乳供給における競争や中小企業の利益の保護とのバランスをとるため、こうした集団交渉には契約量に制限を設け、EUの全生産量の3.5%、各国国内生産量の33%を上限とする。また2020年までの時限措置として、2014年と2018年に見直しを行う。

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これに対して欧州の酪農生産者の団体である欧州酪農家組合(EMB)は、「牛乳の価格はコストをカバーできず大勢の酪農家が廃業することになる」として、欧州委の提案では不十分と批判している。

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