2011/1/10

総合 –EUウオッチャー

EU諸国が相次ぎVAT増税、英は2.5ポイント引き上げ

この記事の要約

財政難に直面するEU諸国で、付加価値税(VAT)の税率引き上げが相次いでいる。英国で4日にVATの標準税率が17.5%から20%に引き上げられたほか、ポルトガル、ポーランド、ラトビア、スロバキアも今年に入りVATを引き上 […]

財政難に直面するEU諸国で、付加価値税(VAT)の税率引き上げが相次いでいる。英国で4日にVATの標準税率が17.5%から20%に引き上げられたほか、ポルトガル、ポーランド、ラトビア、スロバキアも今年に入りVATを引き上げている。英政府はVAT税率の引き上げで年間130億ポンドの増収を見込んでいるが、個人消費の落ち込みや景気回復の遅れを懸念する声も出ている。

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英国では金融危機後の景気対策として、08年末にVAT税率を一時的に17.5%から15%に引き下げたが、昨年1月に元の税率に戻した経緯があり、実質的に2年連続でVATを引き上げたことになる。ただし、食料品、子供服、書籍・新聞などの税率はゼロ、電気・ガス料金は5%に据え置かれる。キャメロン政権は財政赤字削減に向け、教育予算の削減や年金支給開始年齢の引き下げなどで支出を減らそうとしているが、それと並行して収入を増やす必要があるとの認識に立ち、VAT引き上げに踏み切った。オズボーン財務相は「景気回復を図るために必要な措置だ」と強調。所得税や法人税の引き上げなどに比べて納税者への影響が小さい最善の選択肢だと説明し、財政健全化に向けたVAT引き上げに理解を求めた。

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英国以外ではポルトガルが年初からVAT税率を21%から23%に、ポーランドも22%から23%に引き上げた。スロバキアとラトビアもそれぞれ1ポイント引き上げて現在の税率は20%、22%となっている。さらに財政危機に陥ったアイルランドは13-14年に21%から23%への引き上げを予定している。また、フィンランド財務省は昨年末、所得税減税を実施する一方で、VAT税率を現在の23%からEUが定める上限の25%に引き上げる可能性を示唆した。

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