欧州委員会は12日、EU加盟国の経済・財政政策の監視強化策の第1段階として、EUが今後1年間に取り組むべき優先課題をまとめた報告書「年次成長調査(Annual Growth Survey)」を発表した。財政再建、雇用政策、成長促進策の3分野に焦点を当てた10項目の行動計画を掲げ、加盟国に財政健全化や労働市場改革への取り組みを強化するよう求めている。
\EU加盟国は昨年、経済危機の再発防止に向けた取り組みの一環として、各国の経済・財政政策の相互監視を強化することで合意。今年1月から「ヨーロピアン・セメスター(European Semester)」と名付けた政策監視の年間スケジュールに基づき、予算や政策の立案に際して早い段階から加盟国が政策協調を行う仕組みを導入した。年次成長調査はその第1段階に当たるもので、加盟国は報告書の提言を財政政策に反映させ、中期財政計画や成長戦略を策定する。欧州委はそれらを評価し、夏までに国ごとに追加的措置を勧告。各国は勧告を踏まえて次年度の予算編成を行う。
\報告書は財政健全化を最優先課題と位置付け、大規模な歳出削減を図りながら、状況に応じて付加価値税(VAT)など間接税の増税を検討する必要があると指摘。このほか加盟国に対し、労働市場の流動性を高めて雇用の拡大を図ることや、支給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革、単一市場の強化、共通エネルギー政策などに取り組むよう提言している。
\欧州委のバローゾ委員長は声明で「今回の年次成長調査から欧州統合の新たな段階がスタートする。行動計画を完全に実行することができれば、欧州経済は成長を回復し、雇用も拡大すると確信している」と強調した。
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