2011/1/24

総合 –EUウオッチャー

ユーロ防衛基金拡充、具体案策定は先送り

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は17日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う「ユーロ防衛基金」の拡充が必要との見解で一致したものの、具体策の決定は見送った。3月のEU首脳会議までに調整を図 […]

ユーロ圏17カ国は17日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う「ユーロ防衛基金」の拡充が必要との見解で一致したものの、具体策の決定は見送った。3月のEU首脳会議までに調整を図る方針だ。

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総額7,500億ユーロのユーロ防衛基金は、EUが5,000億ユーロ、国際通貨基金(IMF)が2,500億ユーロを負担するもので、EUの基金はユーロ参加国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)の2つからなる。

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これまでに支援が発動されたのはアイルランドだけで、しかも支援額は基金の1割にとどまっている。しかし、ポルトガル、スペインなど財政不安を抱える南欧諸国が支援を要請する事態に備えて、基金の拡充を求める声が強まっていた。

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焦点となっているのは、ユーロ防衛基金の中核であるEFSFの拡充。これをめぐっては、欧州委員会が基金規模の拡大に前向きで、加盟国の中でも政治の空白により財政不安の懸念が高まっているベルギーは2倍に増額することを提唱している。しかし、今回の財務相会合ではドイツなどが規模拡大に反対を表明。ポルトガル、スペインが先ごろ実施した長期国債発行の入札が順調に終わり、信用不安が一時後退していることから、拡充を焦る必要はないとして、結論を持ち越した。

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規模拡大に代わる拡充策として浮上しているのは、EFSFの準備金縮小。債券発行によって資金を調達する必要があるEFSFは、高格付けを保つため2,000億ユーロを準備金として計上しなければならず、実際に使える金額は2,500億ユーロにとどまっているためだ。このほか、EFSFが財政不安を抱える国の国債を欧州中央銀行(ECB)に代わって購入する案も取りざたされている。

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