2011/1/17

産業・貿易

アイスランドとの「サバ戦争」激化、EUが水揚げ阻止を通告

この記事の要約

EUとアイスランドがサバの漁獲規制をめぐり対立している問題で、欧州委員会は14日、域内の港でのアイスランド漁船によるサバの水揚げを阻止する方針を明らかにした。豊漁を理由にアイスランドが一方的にサバの漁獲枠を大幅に拡大した […]

EUとアイスランドがサバの漁獲規制をめぐり対立している問題で、欧州委員会は14日、域内の港でのアイスランド漁船によるサバの水揚げを阻止する方針を明らかにした。豊漁を理由にアイスランドが一方的にサバの漁獲枠を大幅に拡大したことへの対抗措置。EU加盟国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインが参加する欧州経済領域(EEA)の緊急会合を同日開き、域外3カ国にEUの意向を伝えた。アイスランド側はこれに対し、EUの措置に実効性はないと反論しており、歩み寄りの姿勢は見せていない。

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大西洋北東海域のサバ漁をめぐっては、これまでアイスランド、英国、アイルランド、ノルウェーなど関係国が相互に漁獲枠を管理してきた。しかし、昨年はアイスランド水域内でサバの生息数が急増したため、同国は年間漁獲枠を例年の2,000トンから6.5倍の13万トンに拡大。デンマーク領フェロー諸島も漁獲枠を取り決めの3.4 倍に当たる8万5,000トンに拡大し、周辺国が反発を強めた。しかし、アイスランドは豊漁に伴う「当然の権利」と主張し、2011年の漁獲枠をさらに14万6,000トンに引き上げるなど徹底抗戦の構えで、関係国による対立が激化している。

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EEA協定の規定によると、参加国の間に「深刻な意見の不一致」がある場合、特定の魚について他の参加国の漁船からの水揚げを阻止できる仕組みになっている。EUは声明で「アイスランドの漁船からEU内の港へのサバの水揚げを拒否する」と表明。アイスランドが漁獲枠の見直しに応じない限り、ただちに同措置を実行に移す方針を明らかにした。

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アイスランドはEUの対応を強く非難している。漁業省の報道官はAFP通信に対し、水揚げ拒否は「想定の範囲内」としたうえで、「サバは常にアイスランド国内で水揚げされており、EU内の港を利用したことはないし、今後もその予定はない」と説明。「EUの措置によってアイスランドの漁業はいかなる影響も受けない」と強調した。

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