2011/1/24

総合 –EUウオッチャー

欧州議会でハンガリーメディア法に批判続出、オルバン首相は内政干渉と反発

この記事の要約

ハンガリーで導入された「メディア法」をめぐり、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっている。19日に開かれた欧州議会本会議では、EU議長国としての政策方針を示すために出席した同国のオルバン首相に対し、一部の議 […]

ハンガリーで導入された「メディア法」をめぐり、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっている。19日に開かれた欧州議会本会議では、EU議長国としての政策方針を示すために出席した同国のオルバン首相に対し、一部の議員が自分の口をガムテープでふさいだり、「検閲済み」と書いたプラカードを掲げて抗議するなど、法律の即時撤回を求める意見が相次いだ。

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欧州委員会もメディア法が報道や表現の自由を定めたEU法に抵触する可能性があるとして、ハンガリー政府に説明を求める方針を示している。これに対し、オルバン首相は法改正の用意があるとしながらも、EUによる内政干渉だと反発を強めている。

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ハンガリーのメディア法は、新設のメディア監督機関「国家メディア通信庁(NMHH)」が新聞、テレビ、インターネットなど各種メディアの報道内容を監視し、政治的に中立でないと判断されたメディアに罰金を科すことなどを盛り込んだ内容。政府は技術の進歩によって形骸化した既存ルールを実情に合わせるのが新法の目的と説明しているが、報道が「バランスを欠いた」内容かどうかを判断するための基準が明記されていないうえ、NMHHのメンバー5人は全員がオルバン首相率いる中道右派与党フィデスの関係者であるため、同党や政権に不利な報道が規制される恐れがある。

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欧州委のバローゾ委員長は18日に行った欧州議会での演説でこの問題に触れ、「ハンガリーのメディア法に重大な懸念を抱いている」と発言。週内にも同国に書簡を送り、詳しい説明を求める方針を明らかにした。一方、中道左派グループの代表を務めるシュルツ議員は19日の本会議で、「ハンガリーのメディア法はEUの基本理念である自由と正義を順守していない」と指摘。オルバン首相に対し、ただちに法律を撤回するよう求めた。これに対し、同首相は「我々は40年間にわたり独裁体制の下で生きてきた。民主主義に対するハンガリー国民の切望を疑問視する声を受け入れることはできない」と反論。必要があればメディア法を見直す用意はあるが、あくまでも国内の問題だと強調した。

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