2011/1/24

環境・通信・その他

CDM/JIクレジット利用の「質的制限」、13年5月実施へ

この記事の要約

EU加盟国の代表で構成する気候変動委員会は21日、京都議定書が規定するクリーン開発メカニズム(CDM)と共同実施(JI)を通じて取得したクレジットをEU排出量取引制度(EU-ETS)で利用する際の規制を強化することで合意 […]

EU加盟国の代表で構成する気候変動委員会は21日、京都議定書が規定するクリーン開発メカニズム(CDM)と共同実施(JI)を通じて取得したクレジットをEU排出量取引制度(EU-ETS)で利用する際の規制を強化することで合意した。2013年5月1日以降、産業用ガスのうち特に温室効果が高いHFC-23と亜酸化窒素(N2O)の回収・分解事業を通じて取得したクレジットについて、EU-ETSの参加企業が削減実績に組み入れることを禁止する。欧州議会の承認を経て正式決定する。

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京都メカニズムのうち特にCDMをめぐっては、先進国が温室効果ガスの排出削減目標を達成するための安価な方法としての側面が重視され、開発途上国の持続的な発展に寄与するという本来の目的が十分に考慮されていないとの批判がある。たとえば代替フロン「HCFC-22」の製造過程で排出されるHFC-23の回収・分解事業がCDMプロジェクトに認定された場合、HFC-23は二酸化炭素(CO2)に比べて1万1,700倍の温室効果があるため、CO2換算で大量の排出権クレジットが発行されることになる。事業者は取得した排出権を売却して多額の収入を得ることができるため、中国などに相次いで大規模工場が新設され、不必要にHCFC-22が増産されるといった現象が起きている。欧州委員会はこうした矛盾を解消するため、昨年11月にCDMおよびJIプロジェクトの「質」に応じてEU-ETSにおけるクレジットの利用を制限するルールの導入を提案していた。

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欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は声明で「CDMクレジットには価値が疑わしいものがあり、EU-ETSでそうしたクレジットの利用を容認し続けることはEUの利益を損なうと判断した。新規制の目的はEU-ETSの削減実績として利用できるクレジットを減らすことではなく、質の高いクレジットに基づいて国際炭素市場が運営されるようにすることだ」とコメントしている。

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