2011/1/31

総合 –EUウオッチャー

EFSFの起債も順調、50億ユーロを調達

この記事の要約

財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う“ユーロ防衛基金”の中核である「欧州金融安定基金(EFSF)」が25日、アイルランド支援の資金調達に向けた第1弾の起債として、50億ユーロの債券を発行した。高い格付けを背景 […]

財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う“ユーロ防衛基金”の中核である「欧州金融安定基金(EFSF)」が25日、アイルランド支援の資金調達に向けた第1弾の起債として、50億ユーロの債券を発行した。高い格付けを背景に9倍の応募があり、順調に消化。日本政府が発行額の20%超を引き受けた。

\

EFSFが発行した債券は5年物で、利率は2.89%。日本政府を含む500以上の投資家から約445億ユーロの応募があった。

\

EUと国際通貨基金(IMF)が協力して財政難のユーロ参加国に緊急融資するユーロ防衛基金は、ユーロ参加国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模のEFSFと、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)の2本立て。深刻な信用不安に直面するアイルランドが初の支援対象で、昨年12月に総額850億ユーロの緊急融資を実施することを決定した。EFSMとEFSFはアイルランド支援に必要な資金を調達するため、2011年に341億ユーロ、12年に149億ユーロの債券を発行する計画。EFSMは5日に第1弾の起債を実施し、順調に50億ユーロを調達している。

\

EFSFが発行した債券の利率は、ドイツの5年物国債をわずかに上回る水準。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など大手格付け機関から最高評価となる「AAA」の格付けを取得していることから、比較的低いコストで目標額を調達できた。

\

ギリシャに端を発したユーロ圏の信用不安は、次の要支援候補国とされるポルトガル、スペインの国債発行入札が順調に終わるなど、このところ落ち着きを取り戻している。EFSF債への高い需要はこれを裏付けた格好。同基金のクラウス・レグリング最高経営責任者(CEO)は記者会見で「投資家の反応は、ユーロ圏の金融安定確保に向けた施策に対する信頼の表れだ」とした上で、信用不安問題は「転換点を迎えた」との認識を示した。

\