2011/1/31

産業・貿易

12年までにサービス分野の単一市場実現、欧州委が今後2年間の行動計画

この記事の要約

欧州委員会は27日、サービス分野における単一市場の実現に向けた今後2年間の行動計画を発表した。EUでは2006年に域内におけるサービス市場の自由化を目的とする「サービス指令」が採択され、加盟国は09年12月末までに国内法 […]

欧州委員会は27日、サービス分野における単一市場の実現に向けた今後2年間の行動計画を発表した。EUでは2006年に域内におけるサービス市場の自由化を目的とする「サービス指令」が採択され、加盟国は09年12月末までに国内法の整備を義務付けられていたが、実際には企業が国境を越えて事業展開するうえでさまざまな障害が残っている。欧州委は市場ごとにサービス指令の実施状況を分析して単一市場の形成を妨げている要因を特定し、12年の自由化達成を目指す方針を示している。

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欧州委によると、EU市場ではサービス産業が域内総生産(GDP)の約3分の2を占めており、単一市場の形成に伴う経済効果は年間600億-1,400億ユーロ(GDP比で0.6-1.5%)に上るとされる。しかし、域内貿易でサービス分野が占める割合は5分の1程度にとどまっており、国境を越えて事業展開する中小企業は全体の8%にすぎない。欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は、こうした現状が消費者の選択肢を狭めるだけでなく、小規模経営の革新的な企業の成長を妨げ、潜在的な競争力を奪っていると指摘。厳しい経済状況が続くなか、サービス分野における単一市場形成の阻害要因を取り除いて潜在的成長性を引き出す必要があると強調している。

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単一市場の実現に向けた具体策として、欧州委は11-12年にかけて国境を超えたサービスのさまざまな事例について「パフォーマンス・チェック」を実施し、国ごとに異なるルールやEUの定める多様なルールが市場にどのような影響を与えているかを分析。市場ごとに自由化を妨げている要因を特定する。さらに国境を超えてサービスを提供する際、拠点を置かない国で企業が実際にどのような不利益を受けているかを継続的に監視し、年1回報告書をまとめて必要な対策を講じる。

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