2011/1/31

競争法

欧州委がギリシャ航空2社の合併拒否、独占化に懸念

この記事の要約

欧州委員会は26日、ギリシャのオリンピック航空とエーゲ航空の合併計画について、競争上の懸念から認めないとの判断を下した。合併で誕生する新会社がギリシャの航空市場でほぼ独占的な地位を占め、運賃の引き上げやサービスの低下につ […]

欧州委員会は26日、ギリシャのオリンピック航空とエーゲ航空の合併計画について、競争上の懸念から認めないとの判断を下した。合併で誕生する新会社がギリシャの航空市場でほぼ独占的な地位を占め、運賃の引き上げやサービスの低下につながる可能性があるため。

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欧州委によれば、合併によりアテネと欧州や国内の各地を結ぶ航空路線を利用するギリシャおよび欧州の年600万人の乗客のうち、約3分の2が運賃値上げの影響を受ける可能性があるという。両社はギリシャの国内線で合わせて90%以上のシェアを握っており、新たな参入はほぼ不可能となっている。特に両社の統合で独占となるのは、アテネと同国第2の都市テッサロニキを結ぶ路線のほかアテネとクレタ島やロードス島、サントリーニ島などの人気の保養地を結ぶ路線で、合わせて9路線に上る。

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両社は国内空港の離発着権の一部を譲渡することを提案したものの、欧州委は同国の空港では離発着に十分な余裕があるため譲歩案は適切ではないと退けた。一方で欧州委は、競合となりえる航空会社に保有機体の一部を売却するか他の航空会社に両社のブランドを使用させることを提案したものの、満足のいく合意に達することができなかったという。

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昨年2月に計画が発表された時点ではギリシャは債務危機に陥り、両社はこうした経済状況を合併の一つの理由に挙げていた。今回の決定を受けてオリンピック航空を保有するマーフィン・インベストメント・グループのトップは、「欧州委の決定は消費者およびギリシャ経済に悪影響を与える」として、欧州委の決定を検討し欧州裁判所に提訴するかどうかを判断する意向を明らかにした。

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欧州委はこれまでに4,500件以上の合併・買収計画を審査してきたが、計画を認めなかったケースは20件しかない。前回認めなかったのは2007年のことで、アイルランドの格安航空会社ライアン・エアーによる同国のエアリンガスの買収計画に関するものだった。

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