2011/1/31

環境・通信・その他

欧州委がクラウドコンピューティングの指針策定

この記事の要約

欧州委員会のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は28日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説を行い、EU域内の企業や公的機関によるクラウドコンピューティングの円滑な導入を支援す […]

欧州委員会のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は28日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説を行い、EU域内の企業や公的機関によるクラウドコンピューティングの円滑な導入を支援するため、来年中にセキュリティやデータ保護に関する指針をまとめる方針を明らかにした。今春にサービスプロバイダーやユーザーとの会合を開いてクラウドコンピューティングの利用実態や問題点について意見を聞き、データ保護やプライバシー関連の法的枠組みを整備すると共に、データセキュリティを中心とする技術基盤の確立を急ぐ。

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クルース副委員長は「クラウドコンピューティング革命がどのように展開していくか、理論上は極めて明白だが、実際には法律面、技術面、商業面のさまざまな問題を解決する必要がある。いずれにせよクラウド化は必須の流れであり、EUは円滑かつ迅速な移行を支援するため、共通のアプローチ作りで中心的な役割を担う用意がある」と発言。EU加盟国の多くが財政赤字削減の必要に迫られている現状に触れ、データ保護やセキュリティのレベルを維持しながらコスト効率の高いクラウドコンピューティングの導入を進める必要があるとの認識を示した。

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クラウドサービスの有力プロバイダーでロンドンに本社を置くカレンザの取締役ニック・バロン氏は、企業の多くがクラウドコンピューティングを導入するメリットを理解し始めているが、データ保護などの法的側面に関して混乱が生じており、「クラウドコンピューティングは法的な地雷原になっている」と指摘。「クラウド化されたデータにどの国の法律を適用すべきかをめぐって混乱が生じており、EU主導で共通の法的アプローチを模索することは極めて重要だ」と語った。

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