2011/2/7

産業・貿易

中南米との“バナナ戦争”終結、欧州議会が関税引き下げ承認

この記事の要約

欧州議会は3日の本会議で、中南米産バナナに対するEUの関税引き下げを賛成多数で承認した。これにより15年以上に及んだ“バナナ戦争”に正式に終止符が打たれたことになる。\ EUと中南米諸国は2009年12月、EUが中南米産 […]

欧州議会は3日の本会議で、中南米産バナナに対するEUの関税引き下げを賛成多数で承認した。これにより15年以上に及んだ“バナナ戦争”に正式に終止符が打たれたことになる。

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EUと中南米諸国は2009年12月、EUが中南米産バナナへの関税を2010年から17年にかけて段階的に引き下げ、現在の176ユーロ/トンから同114ユーロまで下げる代わりに、中南米側は訴訟を取り下げることで合意。チキータやデルモンテなど中南米でバナナを生産する多国籍企業を持つ米国も同案に同意していた。

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EUは加盟国の旧植民地が集中するアフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP)が輸出するバナナを優遇し、年77万5千トンまで関税を免除する一方、エクアドルなど中南米産バナナに対しては高い関税をかけてきた。

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これを中南米諸国が差別的措置として1990年代にWTOに提訴し、勝訴したことから、EUは2006年1月から新たな制度に移行。中南米産について、年200数十万トンまで75ユーロ/トン、上限超過分に同680ユーロの関税を課す従来の方式から、数量制限を撤廃して関税率を一律176ユーロ/トンとする制度に変更した。しかし、なおACP産と比べて厳しい条件であることから中南米側が反発し、WTOの是正命令に従っていないとして提訴。WTOは2008年、中南米側の訴えを認め、EUにさらなる制度見直しを命じていた。

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EUは中南米への関税引き下げにより競争力が低下するACP諸国への支援策として、最大2億ユーロの援助を行う。

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