欧州中銀(ECB)の次期総裁の最有力候補とされていたドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が4月に辞任することが11日明らかになった。これにより同総裁は総裁選から離脱。同総裁はECB次期総裁の就任が確実視されていただけに、人選は振り出しに戻った形だ。
\ECBのトリシェ総裁は今年10月末の任期で退任するが、初代総裁が仏独の駆け引きの末にオランダ人に決まり、2代目はフランス人のトリシェ現総裁だったため、次期総裁はドイツ人が順当と目されていた。しかしウェーバー総裁はドイツ連銀を辞任するうえ、独最大手銀行であるドイツ銀行のアッカーマン最高経営責任者(CEO)の後任に就くとの憶測も流れている。ウェーバー総裁は9日にメルケル独首相と電話で協議したが、内容は極秘とされている。ドイツ連銀もドイツ銀行もコメントを控えている。
\ECB次期総裁の新たな有力候補としては、イタリア中銀のドラギ総裁の名前が挙がっている。しかし副総裁がポルトガル人のコンスタンチオ氏のため、地理的なバランスからして南欧諸国から2人が要職に就くのは難しいとされるうえ、ドラギ総裁が米ゴールドマン・サックス・グループの副会長だったことは投資銀行が各国首脳の批判にさらされている中で足かせになると見られている。
\ドイツ人ではEUの救済基金である欧州金融安定基金(EFSF)のトップのレグリング氏が有力だが、中銀での経験がないことが弱みとなる。このほかフィンランド中銀のリーカネン総裁やルクセンブルグ中銀のメルシュ総裁の名前も取りざたされている。ただECBの政策は23カ国の中銀総裁からなる理事会での合意に基づくもので、市場では誰が総裁になっても大きな変化はないというのが大方の見方だ。
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