2011/2/14

産業・貿易

欧州委が銀行賞与規制見直しへ、不十分なら「新たな規制」

この記事の要約

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は10日、EUが今年1月から実施している銀行員の賞与(ボーナス)支給に関する規制を見直す方針を明らかにした。賞与規制が幹部行員やトレーダーなどへの過剰報酬を是正するうえで […]

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は10日、EUが今年1月から実施している銀行員の賞与(ボーナス)支給に関する規制を見直す方針を明らかにした。賞与規制が幹部行員やトレーダーなどへの過剰報酬を是正するうえで十分な内容になっているか、域内の銀行が現行ルールを順守しているかについて検証を行い、不十分な場合は新たな規制を検討すると警告している。

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EUは短期の業績に連動した高額報酬制度が銀行の過剰なリスク行動を助長し、金融危機が拡大する一因になったとの反省に立ち、各行が現金で即時支給するボーナスの割合を最大30%(高額賞与の場合は20%)に制限することなどを柱とする規制の導入に踏み切った。賞与の40%、高額賞与の場合は60%について、少なくとも3-5年間にわたり支払いを繰り延べ、この間に業績が悪化した場合は賞与を回収できる仕組みなども盛り込まれている。しかし、業績回復を受けて賞与を引き上げる銀行が相次ぎ、欧州議会などから現行規制では不十分との声が高まっている。

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バルニエ委員はブリュッセルで開かれた主要銀行の幹部との会合で「銀行員の賞与水準は困難な状況にある多くの人に衝撃を与えている。銀行は欧州社会の一員であり、そうした状況を十分に考慮しなければならない」と指摘。報酬規制が「十分な内容かどうか」検証すると同時に、域内の銀行が現行ルールを順守しているか査定を行い、対応が不十分な場合は規制を強化する可能性を示唆した。同委員はさらに、銀行のガバナンスに関して株主の役割を拡大するための措置についても検討を進めていることを明らかにし、「株主も銀行の統治に責任を負うことを明確にする」必要があるとの考えを示した。

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一方、英政府は9日、HSBCホールディングス、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)など国内の大手銀行がボーナスの支給額を前年より減らすとともに、企業向け融資の目標額を設定することに合意したと発表した。銀行側は取締役など幹部の報酬を公表することでも合意している。ただ、具体的な削減幅など詳細は不明で、市場では実効性を疑問視する声が上がっている。

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