2011/2/14

産業・貿易

EUが飼料用穀物の関税ゼロへ、需給ひっ迫・価格高騰に対応

この記事の要約

欧州委員会の農業委員会は10日、農作物の需給ひっ迫と食料価格の高騰に対応するため、飼料用の小麦と大麦の輸入関税を一時撤廃するとともに、砂糖にかかる関税を引き下げて輸入を拡大する方針を打ち出した。欧州委の承認を経て実施する […]

欧州委員会の農業委員会は10日、農作物の需給ひっ迫と食料価格の高騰に対応するため、飼料用の小麦と大麦の輸入関税を一時撤廃するとともに、砂糖にかかる関税を引き下げて輸入を拡大する方針を打ち出した。欧州委の承認を経て実施する。

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国連食糧農業機関(FAO)によると、今年1月の世界主要食料価格指数は過去最高を記録し、小麦などの穀物価格は過去1年間に44%、砂糖価格も14%上昇した。穀物相場の上昇は、干ばつ被害を受けたロシアが小麦などの禁輸措置を発動したのがきっかけ。その後、豪州が大規模な洪水に見舞われ、途上国を中心に需給が一気にひっ迫した。中東やアフリカ諸国での供給不足を背景に、EUからの穀物輸出も急速に増加しており、7月からの輸出量は小麦が前年比20%増、大麦は同7倍となっている。こうしたなか、EU市場では飼料用小麦と大麦の取引価格が昨年6月に比べてそれぞれ110%、130%上昇するなど、穀物価格は食料危機が起きた2007-08年の水準を上回っている。

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農業委は飼料用穀物の関税をゼロにすることで「域外からの輸入を促進し、EU市場における需給のひっ迫を和らげることができる」と説明している。一方、砂糖に関しては関税引き下げにより、30万トン程度の輸入拡大が見込まれる。ポルトガルでは昨年12月、供給不足に伴う値上げを懸念した消費者による買い占めが全国的に広がり、食料品店から砂糖が消える事態に陥っていた。

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