2011/2/28

産業・貿易

未承認GMO「ゼロ許容政策」転換へ、混入率0.1%以下の飼料原料輸入を容認

この記事の要約

EUによる遺伝子組み換え作物(GMO)の輸入をめぐる問題で、加盟国の代表で構成する専門委員会は22日、EUで未承認の遺伝子組み換え作物(GMO)の混入率が0.1%以下の飼料用原料について、域内への輸入を認める案を承認した […]

EUによる遺伝子組み換え作物(GMO)の輸入をめぐる問題で、加盟国の代表で構成する専門委員会は22日、EUで未承認の遺伝子組み換え作物(GMO)の混入率が0.1%以下の飼料用原料について、域内への輸入を認める案を承認した。新ルール導入には欧州議会の承認が必要だが、順調に手続きが進めば今夏にも0.1%の許容水準が設定される見通し。EUは未承認GMOの混入を一切認めないこれまでの「ゼロ・トレランス(ゼロ許容)」政策を大きく転換することになりそうだ。

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EUはGM食品および飼料の表示とトレーサビリティに関する2003年の規則に基づき、未承認のGMOの混入が確認された場合、たとえ微量であっても域内への輸入を全面的に禁止している。同規則の施行から3年間は0.5%以内の偶発的な混入を許容する移行措置が取られたが、同措置が失効した後の09年に米国から輸入された飼料用大豆に未承認のGMトウモロコシが微量混入していたことが発覚。同国産大豆の輸入が全面禁止となり、飼料用原料が不足する事態に陥った。

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こうしたなかで欧州委員会は未承認GMOの偶発的な混入は不可避との立場から、未承認GMOの許容水準を設定する方向で調整を進め、昨年11月に混入許容率を0.1%とする案を打ち出した。なお、この許容水準は欧州食品安全機関(EFSA)による最終的な承認には至っていないものの、一連の科学的検査で安全性が確認されたGMOに限って適用される見通しだ。

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飼料メーカーや畜産業界は今回の決定を歓迎する一方、環境団体はゼロ許容政策の放棄に対して警戒感を強めている。フレンド・オブ・アース・ヨーロッパの広報担当は「GMOに汚染された飼料を家畜に与えて良い理由はどこにもない。飼料産業の要求を満たすためのルールが人体と環境に深刻な影響をもたらすだろう」と警告。グリーンピースもEUは飼料原料の大部分を米国、ブラジル、アルゼンチンからの輸入に依存しており、ゼロ許容政策を放棄した場合、なし崩し的に許容水準が引き上げられ、GMOによる「汚染」が広がりかねないと指摘している。

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